2020.10.31

SDGsの目標3とは?意味や取り組みについて解説します

3.すべての人に健康と福祉を
国際社会が抱える問題を解決するためのSDGs(エスディージーズ)。

メディアや企業の広報でも耳にすることが増えてきましたね!
SDGsは私たち日本で暮らす人々にも多大な影響をもたらしているんですよ♪

今回は、SDGsのおさらいを踏まえ、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』にスポットを当てて分かりやすくご紹介します。
世界の状況や日本の企業による取り組みもまとめました★
 

■SDGsは国際社会が目指す未来の在り方をまとめたもの

SDGs
SDGsは2015年の国連サミットで採択された“目標”のこと。
サミットの翌年、2016年2030年までの15年間で達成すべき目標のまとめです。

SDGsは17の目標と169のターゲットを定めています。
これにより、方向性が統一できるだけでなく、定めに則った取り組みなので、自国と他国の達成状況を比較しやすくなるというメリットも!

以下はSDGsが定めた17の目標です。
 
No. 目標 内容
1 貧困をなくそう あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
2 飢餓をゼロに 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
3 すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4 質の高い教育をみんなに すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5 ジェンダー平等を実現しよう ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る
6 安全な水とトイレを世界中に すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8 働きがいも経済成長も 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9 産業と技術革新の基盤をつくろう 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10 人や国の不平等をなくそう 各国内及び各国間の不平等を是正する
11 住み続けられるまちづくりを 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12 つくる責任 つかう責任 持続可能な生産消費形態を確保する
13 気候変動に具体的な対策を 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14 海の豊かさを守ろう 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15 陸の豊かさも守ろう 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16 平和と公正をすべての人に 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17 パートナーシップで目標を達成しよう 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

SDGsの目標を見てみると、人や国のあらゆる意味での平等と環境保全、社会、暮らしについて定められていることが分かりますね。

▼169のターゲットはこちらをチェック!
ノハム|SDGsの目標とターゲットまとめ!ロゴと共に紹介します
 

■SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』

目標3
SDGsの目標3では、『あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する』ことを目指して取り組む内容が定められています。

以下は、目標3のターゲットを表にしたものです。
 
No. 内容
3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。
3.8 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d 全ての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。
Global Compact Network Japan|目標 3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進するより作成)
 

■目標3が私たちの生活に与える影響。

日本をはじめとする先進国では、福祉や健康にまつわることが充実しています。
そのため、健康や福祉を充実させるための活動と聞いてもイメージしにくいという方もいるのではないでしょうか?

実は私たちの生活にも影響があるんですよ♪

ここでは、SDGsの目標3を身近に感じてもらうために、目標3が私たちの生活にどのように影響しているのか、その主な事例を見ていきましょう!
 

〇たばこの規制

禁煙
喫煙所の減少や歩きたばこの禁止など、健康に害がある副流煙防止のために、近年喫煙に対する規制が数多く実施されています。
こういった、たばこの規制もSDGsに盛り込まれている国際的な取り組みのひとつです。

たばこの規制はクリーンで過ごしやすい環境にも役立っていますよね!
 

〇交通事故を無くそう!

自動車のCMでも目にする交通事故の減少報告。
「最新の技術ってすごいなぁ!」と感心していますが、実はこれもSDGsによる取り組み。

各自動車メーカーは、自動運転機能の向上や安全機能の強化を図り、2020年までに自社の自動車での交通事故志望者・重傷者のゼロにすることを目標に開発と研究をしています。
 

〇妊産婦に安心と安全を!

妊婦
国際開発センターが公開している、『SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS|目標3すべての人に健康と福祉を』によると、世界の妊産婦死亡率は10万人あたり216人。
SDGsでは、10万人あたりの死亡率を70人にまで下げるよう目標としています。

死亡率の低下は、それだけ妊婦さんが安心して出産ができるということの証。

日本だけで見ると、妊産婦死亡率は10万人あたり5人。
赤ちゃんが世界一安全に生まれる国とも言われていますが、妊婦さんは不安なハズ。
限りなくゼロに近付けば、それだけ安心もできますよね♪
 

■目標3が必要な理由と世界の状況

福祉
目標3が定められた背景には、どのようなものがあるのか。
ここでは目標3の実現を必要としている世界の現状をご紹介します。
 

〇予防可能な病気で子供が命を落としてしまう国や地域

開発途上国では、医療や福祉が充実していないことが少なくありません。
国連開発計画所|あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進するによると、5歳の誕生日を迎えられずに亡くなってしまう子供は600万人。また、予防可能な病気によって毎日1万6000人の子供が命を落としています。

上記に加え、性的な接触によるHIV・AIDSの感染・発症で命を落とす若者も多く、予防のための知識を得たり、ワクチンを接種したりするための対策が必要です。
 

〇助産師のいない出産

開発途上国の農村部では、助産師などの医療専門家が付きそう形での出産が全体の56%ほどに留まっており、妊娠と出産の合併症で亡くなる妊婦は1日で数百人を超えています。
これは、適切な医療を受けられる女性が全体の約半数しかいないということです。
 

〇汚染されている環境

大気が汚染された不衛生な環境の中で暮らしている人はたくさんいます。
きれいな水を飲めずに感染症が発祥してしまうことも。
衛生面、健康維持の両方で開発途上国の環境を改善しなければなりません。
 

■健康と福祉のために行われている取組み事例

SDGs目標3達成のための取り組みは、政府や企業などさまざまな組織で行われています。
ここでは、医療支援と日本の企業による取り組みの一部をご紹介します。
 

〇開発途上国向けの医療支援

医療
開発途上国ではインフラの整備も整っていない国や地域が多数あります。
また、都市部と多くの国民が住む農村部で起きている医療格差も深刻です。

開発途上国で医療を充実させるために、まずは農村地帯に向けて環境に適合した医療機器の開発や診療所の建設を進める必要があります。また、医療を充実させることと同時に医療従事者の育成を行う取り組みも行われています。

▼医療に関して詳しくはコチラ
gooddo マガジン 社会課題やSDGsに特化した情報メディア|SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の取り組み内容とは?
 

〇株式会社ヤクルト

株式会社ヤクルトでは、安心安全で栄養価に優れた商品を安価に提供するための開発研究を通してSDGs目標3に取り組んでいます。
ヤクルトは第2回「ジャパンSDGsアワード」における特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しています。
 

〇味の素株式会社

保存性と栄養価が高く、安価な食品を世界規模で展開・普及させることで、開発途上国で暮らす人々の栄養状態を改善するほか、健やかな成長に繋げています。
 

〇日本電気株式会社(NEC)

給食
子供の健康状態に着目し、海外の効率学校への給食支援を実施。
公立学校1200校に指紋認証を導入するなど安全面にも考慮。
子供の栄養管理と安心安全に対してのサポートを行っています。
 

■まとめ|SDGs目標3は世界の人々が健康的な生活を送るためのもの

SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』についてご紹介しました。
一見、日本で暮らしている私たちとは縁遠い目標のように感じますが、自動車や喫煙、妊産婦に関することなど、私たちの暮らしにも影響のあることが分かりましたね。

【今回ご紹介した内容】
  1. SDGsの目標について
  2. SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』
    ・目標3のターゲット
  3. 日本に住んでいる私たちに与えている影響
    ・たばこの規制
    ・交通事故死者数をゼロに
    妊産婦の安全確保
  4. SDGs目標3が必要とされている背景
  5. 日本の企業によるSDGs目標3の取り組み事例

健康と福祉を世界中の人々に充実させるのは困難な課題がたくさんあります。
SDGsが目指す2030年の世界はどのようになっているのでしょうか?
今から未来がすごく楽しみですね♪

この記事を通して、SDGs目標3を身近に感じてもらえたら嬉しいです。

以上、『SDGsの目標3とは?意味や取り組みについて解説します』でした!