SDGsランキング1位のスウェーデンの取り組み事例とは?
「SDGs」という言葉をご存知ですか?
「サスティナブル」「持続開発可能な~」「環境保護」などと同時に度々メディアなどでもよく耳にするようになりましたよね。
他にも企業のホームページや、SNSなどでも目にすることが増えました。
そこで今回は「SDGsランキング1位のスウェーデン」をピックアップ。
SDGsをあまり詳しくは知らない方のために、SDGsとはなにかについても同時にご紹介いたします。ぜひ、最後までご覧ください★
1そもそもSDGsとは?
SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals(サスティナブル ディベロップメント ゴールズ)」の略で、日本語に翻訳すると「持続可能な開発目標」という意味になります。
2015年9月の国連サミットで採択された世界共通の目標です。
“2030年まで”という期間を設けて、世界共通の目標を国連に参加している国が各々「SDGs」を達成するために頑張りましょう!というのが始まり。
ここでまずひとつ押さえておくポイントが、「目標でゴールを目指しているので、読み方は『エスディージーズ』」となること。
意外と間違えて覚えている方が多いので、SDGs=世界共通の目標ということだけは覚えておきましょう!
●SDGsは開発途上国向けの目標の失敗を受け止めてできたもの
SDGsの目標はMDGsという開発途上国向けの目標が基盤になっています。
このMDGsはSDGsを採択する以前に設けられていた目標で、MDGsが失敗したことを受けてSDGsが新しく採択されることに決まりました。
このMDGsの失敗を受けて、SDGsでは先進国も含めた目標を新たに加えたものとして設定されているのがMDGsとの大きな違いです。
そして新たに設定されたSDGsでは「誰も置き去りにしない世界」を目指して大きくわけて、17の目標が設置されています。
「誰も置き去りにしない世界」を目指して |
||
No |
主題 |
副題 |
1 |
貧困をなくそう |
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ |
2 |
飢餓をゼロに |
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する |
3 |
すべての人に健康と福祉を |
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する |
4 |
質の高い教育をみんなに
|
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する |
5 |
ジェンダーを平等に実現しよう |
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る |
6 |
安全な水とトイレを世界中に |
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する |
7 |
エネルギーをみんなに そしてクリーンに |
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する |
8 |
働きがいも 経済効果も |
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する |
9 |
産業と技術革新の基盤をつくろう |
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る |
10 |
人や国の不平等をなくそう |
各国内及び各国間の不平等を是正する |
11 |
住み続けられるまちづくりを |
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する |
12 |
つくる責任 つかう責任 |
持続可能な生産消費形態を確保する |
13 |
気候変動に具体的な対策を |
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる |
14 |
海の豊かさを守ろう |
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する |
15 |
陸の豊かさも守ろう |
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する |
16 |
平和と構成をすべての人に |
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する |
17 |
パートナーシップで目標を達成しよう |
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する |
2 3年連続1位のスウェーデンって?
2020年7月に国連が「The Sustainable Development Goals Report 2020」を発表しました。
こちらのレポートでは、SDGsの17目標別の世界での達成度を点数化しランキングとしてまとめられました。
そこで発覚したのはスウェーデンが1位だったということです。
スウェーデンは以前から「SDGs」に力を入れている国として他国からも注目されていましたが、このランキングで1位になるのは3年目。
2位のデンマークとは僅差ですが、毎年1位になるというのはすごいことですよね。
ではそんな1位をキープしているスウェーデンではどのようにして1位になっているのか、日本と比較していきながら見ていきましょう。
順位 |
国名 |
ランキングスコア |
1 |
スウェーデン |
84.7 |
2 |
デンマーク |
84.6 |
3 |
フィンランド |
83.8 |
4 |
フランス |
81.1 |
5 |
ドイツ |
80.8 |
6 |
ノルウェー |
80.8 |
7 |
オーストラリア |
80.7 |
8 |
チェコ共和国 |
80.6 |
9 |
オランダ |
80.4 |
10 |
エストニア |
80.1 |
①政府が本気で取り組んでいる
まずひとつめの理由として考えられるのは「政府の本気度」です。
日本でも力を入れてはいますが、ランキングでは17位とトップ10入りは難しいのが現状です。
なぜ「政府の本気度」が伺えるのかというと主に理由は3つあります。
(1)SDGsが認知されている
スウェーデンでは「コンセンサス」といわれる共通理解が基盤にあります。
つまり、サスティナビリティに関する基礎がもともと国民に意識の中にあるということです。
「健全な県境があってこそ、安定した社会が生まれ、それによって経済が発展する」というスウェーデンの環境学者であるヨハン・ロックストロム氏は提唱しています。(SDGsケーキより)
こういった元々の基盤の差は日本と大きな差をつけているのではないでしょうか?
「SDGsの認知度」といったもので比較すると、日本の場合は50%未満なのに対しスウェーデンでは87%という結果を出しています
この時点で明らかですよね。
SDGsを知っている人が多い国と知らない人が多いと国とでは、政策を取り組むのも、企業に導入するのも活動内容に差はなくても活動人数には差が出てしまいますよね。
こういった点をふまえると、スウェーデンがいかに本気で「SDGs」に向き合い対策をとっているかがうかがえますね。
(2)ルールを理解している国民が多い
次に考えられている点としては、「環境循環」に基づく原理原則を理解している国民がおおいということです。
日本でも何が環境に正しいかについては学習しますが、スウェーデンでは義務教育や、企業の社員教育、法律でもこのルールに基づいているんですよ。
原理原則の中の3つのルール |
|
1 |
環境循環(還すことができる以上に取らない) |
2 |
地下から地上の資源に切り替える。 ※地下=石油、プラスチック、天然ガス 地上=風、ガラス、竹、生ゴミ |
3 |
生物多様性の保護 |
(3)定期的な報告を行う
そして3つ目の理由として考えられることは「定期的な報告」をしていることです。
これは国民に対して情報を開示するということはもちろんですが、スウェーデンでは187の行政機関と60弱の国営企業がSDGsの自分達の取り組みを政府に報告しているということを指します。
SDGsに対して自由に取り組んでください、という日本のような曖昧さでは、企業側もどうしたらいいのか、やらなくてもいいのかと思ってしまいますよね。
スウェーデンではそのようなことを防ぐために、政府への報告を義務化しているんです。
その結果各機関がSDGsに取り組み、成果を上げているということにつながるんですよ。
②SDGsについて著名人たちが発信している
ふたつめに考えられる理由は、先ほど紹介したヨハン・ロックストローム氏をはじめとする著名人が、SDGsについて自分の言葉で語る機会が多いことが関係しているといわれています。
日本でも最近ようやくメディアやYouTubeなどで芸能人が「SDGs」について発言したりしていますが、スウェーデンでは以前から著名人が「SDGs」について言及していました。
それに対して国民は耳を傾けて、その言葉に納得し行動するのがスウェーデンの国民性の特徴です。それもこれも政府が「SDGs」に本気で取り組み、国民が環境を理解していることが関わっているのがうかがえます。
3スウェーデンの取り組み事例ってどんなものがあるの?
では、実際にスウェーデンではどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
事例を交えながらみていきましょう!
①家庭ゴミのリサイクル率99%
まず注目したいのは家庭ゴミのリサイクルです。
日本では考えられない数字ですよね!
これも原理原則のルールを理解しているからこそ出せる数字なんです♪
化石燃料は使わずに、ゴミを再生可能エネルギーとして賄っているというだけあって、他国が入る隙のないリサイクル率の高さです。
こういった国民の意識の高さと行動率の高さも、SDGsの取り組みとして他国から注目されています。
②電力使用領の約60%がグリーンエネルギーのバイオマス、風力、水力
先ほどの家庭ゴミのリサイクル率と重なりますが、スウェーデンではグリーンエネルギーが主流になり始めています。
家庭ゴミなどを使用したバイオマス発電をはじめ、風力、水力と環境にやさしい発電に重きを置いています。
実際に、国内での移動は風力や水力で走る電車、じゃがいもの皮やバナナの皮を燃料にしたバイオマス発電の環境循環型バス・タクシー、サイクロノミクス(自転車での移動)が主流になっています。
その結果、SDGsの多くの項目を達成し世界でも評価を受けているんですよ。
③CO2排出量25%減を達成!
先ほどのグリーンエネルギーと話がつながりますが、CO2(二酸化炭素)の排出量の削減にも成功しています。
CO2は地球温暖化を促進させてしまうとして、昨今ではどうにかしてCO2の排出量を減らそうといったはたらきが世界的にも見られます。
さらにSDGsのターゲットの中にも具体的にCO2の削減について明記されている項目あるんですよ。
そんな世界の状況に対しいち早く成果を出したスウェーデンは、先ほども紹介したように国内移動の手段をグリーンエネルギーに切り替えていくことによって、大幅にCO2の排出量を減らすという結果も残してSDGsの目標達成のために大きく貢献しています。
④労働環境、自然環境、ジェンダーに配慮した環境づくりの徹底
スウェーデンが評価されている理由は、地球の環境にやさしいといった理由だけではありません。
労働環境を見直し、ジェンダーの問題にも積極的に取り組むことで、「誰も置き去りにしない世界」を目指しています。
北欧は以前より保育や教育に力をかけている国ではありますが、以前にもまして子育てがしやすいように力を入れたりなどその本気度は計り知れません。
日本の保育業界でも、北欧の保育はすごい、育児に力を入れている、子供が育てやすい環境が整っているというのは知られているほど。
こういった社会的環境について整備も、SDGsの幅広い項目の目標達成につながっているんですよ。
3 スウェーデンの取り組みを日本でも見習おう!
いかがでしたか?
今回ご紹介した内容のまとめです。
【SDGsランキング1位のスウェーデンについて】
・SDGsとは?
・スウェーデンの現状
・スウェーデンのSDGsに対しての取り組み事例 について解説してきました。
スウェーデンについて調べてみると、どうして1位なのか納得してしまうような理由ばかりでしたね。
日本でもスウェーデンを見習い、積極的にSDGsに対して取り組んでいくだけではなく、SDGsの認知度をあげていくところからはじめていった方がいいこともわかりました。
今回ご紹介しきれなかった分や、さらにスウェーデンに対してもっとよく知りたいという方におすすめのサイトです。
こちらのサイトではスウェーデンから学べることについて簡潔的にまとめられています。
今回ご紹介したSDGsケーキの表も紹介されていたり、実際に市内を走るバスの写真なども掲載されているのでスウェーデンのことについてもっと知りたい方にはおすすめのサイトです。
こちらのサイトではスウェーデンがなぜSDGsで成果を上げているのかに焦点をおき、実際のスウェーデンの様子がうかがえる写真や事例を紹介しています。
スウェーデンの様子と独自の事例を観光という面から知りたい方にはおすすめのサイトです。
こちらは、スウェーデンが他の国と比較してどのような理由からSDGsへの取り組みが行われているのかを簡潔にまとめられたサイトです。
さらに日本と比較してどのように考えられているのかについてもまとめられているので、スウェーデンと日本とで比較をしたい場合には読み応えのあるサイトです。
《参考サイト》
・SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説(イマココラボ)
・SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(193の国連加盟国全てのランキング)
・SDGsへの世界の取り組み方は?ランキング上位国の取り組み事例を紹介
・Hope and Sustainability ~希望とサスティナビリティのビジネスを~
・「優秀すぎる」リサイクル大国スウェーデン、ゴミを「輸入」する