2020.10.30
SDGsの目標4とは?意味や事例について解説します
一見、私たちにはあまり縁が無い事柄に思えますが、実は大きな影響が!
今回はお子さんがいる方にも関心が高いSDGsの目標4にスポットを当ててご紹介します。
■SDGsってなんのこと?
SDGsは、2015年に開催された国連サミットで採択されもの。
世界が抱える深刻な課題への取組を解決するための取り組みを定めたもので、17の目標と169のターゲットで構成されています。
SDGsは、2016年から2030年までの15年間で目標達成を目指しているんですよ♪
SDGsの目標 |
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▼ターゲットについてはコチラをチェック
・ノハム|SDGsの目標とターゲットまとめ!ロゴと共に紹介します
それでは今回のテーマである目標4「質の高い教育をみんなに」について見ていきましょう。
■SDGs目標4『質の高い教育をみんなに』
目標4はお子さんのいる方にも関心の高い『教育』について定めたもの。
内容 |
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する |
SDGsでは、教育における課題をどのようにとらえているのでしょうか?
以下の目標4のターゲットをご覧ください。
【目標4ターゲット一覧】
No. | 内容 |
4.1 | 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。 |
4.2 | 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。 |
4.3 | 2030年までに、全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。 |
4.4 | 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 |
4.5 | 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 |
4.6 | 2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。 |
4.7 | 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。 |
4.a | 子供、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、全ての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。 |
4.b | 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、並びにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。 |
4.c | 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。 |
開発途上国では、満足な教育を受けられない子供たちがいます。
また、先進国であっても学習の機会を逃さざるを得ない状況に陥っている子供も。
SDGsでは、全ての人が質の高い教育を無償で受けられる世界を目標にしています。
その目標を達成するためには、どのような課題があるのでしょか?
次項では、世界が抱える課題についてご紹介します。
■なんで教育を受けられない子供たちがいるの?
日本ユニセフ協会によると、2018年現在のデータで教育を受けられない子供の数は、世界に約5900万人おり、男女で大きく差があることも公表しています。
教育を受けられない子供 | 男の子 | 女の子 |
約5900万人 | 約2700万人 | 約3200万人 |
これは、ジェンダーの問題が根強く残っているため。
教育を受けられない子供の多くは開発途上国が占めています。
開発途上国には、教育のほか貧困や飢餓など、他にもさまざまな問題が深刻化しているため、女性や子供が弱者となってしまいます。
Edu Town SDGs わたしたちが創る未来|質の高い教育によると、経済力の差や少数民族、障がい者など社会的に立場が弱い人も教育を受けにくいとしており、中でも中学校や高校、大学への進学は、初等教育以上に男女差があることを問題としています。
開発途上国では、他にはどのような理由で教育が受けられないのでしょうか?
主な理由をご紹介します。
〇子供を労働力として扱っている
貧困に悩む国や地域では、子供を労働力として扱うことも少なくありません。
ドキュメント番組などで、数時間かけて子供が水汲みに行っている様子を見たことがある方も多いかと思いますが、そのほかにも、こういった場所では家事や幼児の子育てを子供が任されることもあり、教育に時間を割くことが時間的にも経済的も難しいのです。
〇子供を教育できる教師が少ない
子供を教育するための知識や学力を備えている教師が足りません。これは、教育を受けられなかった子供が大人となり教育の現場に立っているため。
学校へ行ける子供であっても、質の高い教育が受けられないのが現状です。
〇紛争や戦争
子供が学校に通えない地域では戦争が長期化しているケースも。そういった場合、子供が暮らしているのは避難所をはじめとする指定された場所です。
通学や帰宅中に攻撃に巻き込まれる恐れがあるため、学校へ通うことができません。
〇子供の教育は意味がないと思っている
子供を学校へ通わせることは、労働力の低下につながるほか、質の高い教育が受けられないことを背景に、子供を学校へ行かせることの重要性が分かっていない親が多くいます。■教育が受けられないということ
教育が受けられないとどのようなことが起こるのか。
ここでは、教育が受けられないまま大人になってしまった場合のことを考えていきます。
〇職が見つからない
教育を受けられないことで、読み書きや計算が上手くできなくなります。また、大人であれば身についているであろう基礎知識や教養も、教育を受けなければ備わっていないことがほとんどです。
しっかりと給与が与えられる仕事に就かなければ生活が安定せず、自分の子どもに教育を受けさせることができなくなるという悪循環に陥ります。
〇命を危機にさらすことも
生活する上で欠かせない知識というものが学力とは別にありますよね。例えば、予防接種や衛生面での知識です。
教育を受けられない地域では、自ら情報を得る手段が無いことも。
必要な制度を利用できる機会の損失や身を守る術を身に着けていないと、本来は心配の無いことであっても、命を危機に晒してしまう可能性も出てきます。
▼教育が受けられないことの問題点について
・gooddo マガジン 社会課題やSDGsに特化した情報メディア|持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲットや現状は?
■質の高い教育の支援・取組み
開発途上国のみならず、日本をはじめとする先進国であっても質の高い教育が全ての子供に行き届いているかというとそうではありません。
ここでは、質の高い教育への支援に向けた企業の取組みについてご紹介します。
〇パナソニック株式会社
カンボジアでは、読み書きができない成人に向けた授業を仕事終わりの夕方から行われているほか、ミャンマーでは学校に通えない子供向けの寺子屋が夜間に開かれています。開発途上国においては、教育の場を提供する地域であっても、電力を供給するための整備が整っていないことも多く、夜間の授業は困難です。
そこでパナソニックは、そういった電力供給不足に悩む国や地域にソーラーランタンを寄付するための活動をしています。
▼ソーラーランタンの取り組みについて
・みらいい|【SDGs4.質の高い教育をみんなに】を解説!わたしたちがいま取り組めることとは?
〇株式会社ケイウノ
ジュエリーの販売などで若者を中心に人気のケイウノでは、海外と日本、それぞれに向けたケイウノらしい教育支援を行っています。2018年に物理学博士の菊池伯夫氏が募った「ネパールの村に明かりを届けたい。」をテーマにしたクラウドファンディングに賛同、リターン商品としてスマートフォンの懐中電灯用ランプシェードとしても利用できるネックレス「エネジュエリー・しずく」を開発・提供し、多くの支援を獲得する役割を担いました。
日本の教育現場への支援は、「クリエイターの育成」です。
ケイウノで使用したジュエリーの原型を作るためのワックスの端材を再生したものや、商品作成時に出た素材、研究のために購入して使わなくなった材料など、それまで処分していたものを使える形で再生し、美術学校の生徒に寄付しています。
■教育支援のために私たちができること
政府や企業による支援がメインとなっているように思われる教育への支援ですが、私たち個々人にもできることがたくさんあります♬私たちが教育支援のために気軽にできることを見ていきましょう!
〇フェアトレード品を購入する
フェアトレードとは |
公正公平な取引のこと。 開発途上国で生産されるものを適正価格で販売することで、買いたたかれることなく生産者にはしっかりと金銭が支払われるシステムとなっています。 良質なものを適正価格で購入できる消費者へのメリットも! |
SDGs関連で多く取り上げられるフェアトレードは教育への支援にも役割を担っています。
フェアトレードは、開発途上国の生産者や労働者と消費者がwin-winの関係に!
貧困に苦しむ生産者の生活自立を直接支援することが可能です。
経済的な理由で子供を学校に行かせることができない方はたくさんいます。
そういった方々にしっかりと金銭が支払われるフェアトレード品。
経済的な余裕ができれば、結果として子供を学校へ行かせることに繋がります。
〇使わない切手やミスしたハガキの寄贈
日本ユネスコ協会連盟では、「書きそんじハガキ・キャンペーン(無期限)」を実施。書き損じたハガキや未使用の切手などを寄贈することができます。
種別 | 寄付額 |
62円の書き損じハガキ | 57円 / 1枚 |
未使用の切手 | 切手と同額 |
ユネスコによると62円のハガキが11枚集まれば、カンボジアの子供1人をひと月学校へ通わせることがで切るんだそう!
使わないものやミスして捨ててしまうものを寄贈することが寄付になるので、多くの方に知ってもらいたい支援のひとつです。
▼書きそんじハガキ・キャンペーンについて
・日本ユネスコ協会連盟|身近なモノで支援する
〇本を購入する
世界の現状を伝える本がたくさん販売されていますよね。そういった本の中には売り上げの全部、または一部を寄付するものも。
本を読んで見聞を広げるだけでなく、それが支援にも繋がります。
■まとめ
この記事では以下のことをご紹介しました。- SDGsとは
- 目標4『質の高い教育をみんなに』について
- 子供が教育を受けられない主な理由
- 企業による教育支援の一例
- 私たちが教育支援のために気軽にできること
日本で暮らしている私たちにとって、教育を受けられない子供がいる国はイメージしにくいことかもしれませんが、だからこそ気軽に支援できる仕組みも用意されています。
ぜひ、世界中の子供の教育支援について考えてみてください★