2020.10.14

SDGsの目標1とは?意味や事例について解説します

1.貧困をなくそう
2015年に採択され、翌2016年から2030年までの15年間で達成を目指す『SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)』は、世界共通の課題でもあります。

SDGsは、人・環境・平等を目指したもの。
今回は、17ある目標の最初に掲げられている『目標1:貧困を無くそう』にスポットを当てた紹介とその取り組みについて見ていきます。
 

■SDGsで掲げた目標とは

SDGs
SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取って名付けられたもので、国連加盟国193か国が協力して達成を目指す目標のこと。
17の目標と169のターゲットで構成されています。
 
  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任、つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

上記17の目標を達成すべく、世界各国があらゆる取り組みを行っています。
なかでも注目するのは、今回ご紹介する『目標1:貧困をなくそう』です。

「食べ物が手に入らない」
「お金が稼げずに不自由な生活を送っている」

貧困と聞くと発展途上国をメインとした課題のように感じる方も多いかと思いますが、実は先進国であっても深刻な問題となっています。

貧困は、私達の暮らす日本においても例外ではありません。

 

■日本の深刻な問題『相対的貧困』

日本貧困
貧困には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つがあります。
 
カテゴリー 内容
絶対的貧困 食べ物や家がないなど、人として最低限の生活が維持できない状態のこと。
相対的貧困 世帯の所得が、国の平均的な所得の半分に満たない状態のこと。

日本で問題となっているのは相対的貧困です。

相対的貧困は絶対的貧困とは違い、可視化されにくいという特徴があります。
しかし、実際に相対的貧困の状態に陥っていると「一般的な生活」を営むことができません。

相対的貧困となる原因は国によってさまざま。
日本で相対的貧困の状態にある世帯には3つの特徴があります。
その特徴を以下にまとめましたのでご覧ください。
 
  1. 世帯主が60歳以上(国民生活基礎調査では70歳以上)の高齢者である
  2. 単身世帯とひとり親世帯
  3. 郡や町村に暮らしている

日本の相対的貧困となる世帯の特徴を見てみると、高齢化や婚姻しない人の増加、所得格差の拡大など、日本が直面しているその他の問題と深く結びついているようです。
 

〇相対的貧困率

厚生労働省によると、2016年に発表された世界との貧困率の比較では、日本は15.7%となっており、中国とアメリカに次ぐ3番目と、貧困率が高い状況です。
15.7%という数字は、日本人約6人に1人が相対的貧困に陥っていることを意味します。
 

■貧困を無くすことを目標とするSDGs

SDGs
国によって理由が異なるほか、貧困には2つのカテゴリーがあることがわかりました。
これまでも各国で貧困を無くす政策や運動が行われてきたのは皆さんもご存知の通りですが、目に見えるほどの成果は上がっていません。

そこで注目されるのがSDGs。
SDGsは、国際的な協力のもと貧困を無くそうとする目標を定めています。
 

〇貧困を無くすための7つのターゲット

国際問題として貧困と向き合うための「ターゲット」を定め、各国が協力・比較をしながら解決に向けて進めていくことで、課題が見つけやすくなるだけでなく、状況を客観的に見ることが可能になります。
 
SDGs『貧困をなくそう』のターゲット
No. 内容
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、様々な供給源からの多大な資源の動員を確保する。
1.b 各国、地域、および国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。

SDGsの目標1で定められたターゲットは、絶対的貧困や相対的貧困はもちろんのこと、気候変動によるダメージを避けることができない人、ジェンダーへの配慮といった広義の意味で貧困を捉えています。

 

■世界の貧困状況

食べ物を求める男性
目標1に定められたターゲットのうち、具体的な数字が示されているのが「1.1:2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」です。

1.25ドルは日本円にすると約132円(執筆時のレート)。

「132円で生活している人なんているの!?」と驚く方もいるはず。
この金額は、世界銀行が2015年9月まで定めていた国際貧困ラインです。
国際貧困ライン以下で生活する人々を貧困人口と呼びます。
 

〇貧困人口が増加傾向に

国際連合広報センターによると、貧困人口は世界で8億3600万人いるとされており、その多くが発展途上国、なかでも南アジアとサハラ以南のアフリカに住んでいる5人に1人が極度の貧困状態にあると公表しています。

発展途上国における主な仕事は農業をはじめとする環境と密接な関係のあるもの。

これらは、地球温暖化などの気候変動でダメージを受ける可能性が高い仕事であり、環境の改善・保全に有効なアプローチがされなければ、今後さらに貧困問題が深刻化します。

▼世界の貧困状況について詳しく!
gooddoマガジン社会課題やSDGsに特化した情報メディア|持続可能な開発目標・SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットや現状は?
 

■貧困を無くすために私達ができること

スタート
貧困を無くすための取り組みは、規模に関係なく行われることが重要です。

例えば、私達が貧困についての理解を深めること。
その過程で生じた疑問をひとつずつ調べていくと、自分がどういった行動を取るのがベストな選択なのかを決めることができるようになります。

個人の力では多額の支援や大規模な活動はできなくてもOK!
ここでは、身近にある貧困支援をご紹介します。
 

〇募金と寄付

支援と聞いて、まずパッと思いつくのが「募金」や「寄付」ですよね♪

コンビニエンスストアやスーパーマーケット、街頭など、日本ではさまざまなところで募金活動を目にすることができますし、個人で物資や金銭を送ることもできます。
思い立ったときにすぐに実行できるだけでなく、貧困に倒して直接的な支援が可能です。
 

〇フェアトレード品を購入、消費する

フェアトレードとは、開発途上国の製品を適正な価格で購入する公正公平な取引のこと。
開発途上国のものであっても品質が悪いということはありません。
飲食店などで、フェアトレードを見掛けたことのある人もいるハズ!

フェアトレード・ラベル・ジャパンの認証を受けた商品は、しっかりと基準が守られていることの証明としてラベルが張られているので、購入する際の参考にしてみてください★

以下のリンクでは、認証済みフェアトレード商品を販売している会社を紹介しています。

FAIR TRADE JAPAN|認証製品

フェアトレード品の購入は、貧困に苦しむ生産者・労働者が営む生活の質を向上させる効果があり、結果として自立することへの支援となります。
 

〇ボランティアへの参加

寄付や募金活動、フェアトレード品の購入以外にも、貧困に苦しむ人を支援する方法がたくさんありますが、なかでも身近なのが『ボランティア』。
人手を必要としている地域のための活動は立派なSDGs支援と言えるでしょう。

 

■貧困を無くすために日本で行われている取組み事例

事例
SDGsは国際社会全体で共有する目標です。
達成のためには政策をするだけでなく、企業や自治体、個人の協力が必要不可欠!
ここからは、SDGsの目標1「貧困をなくそう」の達成に向けて活動している企業の取組み事例をご紹介していきます。
 

〇アースデイ東京

アースデイ東京では、地産地消・旬の食材・GMOフリーなどの環境と身体に優しい「食」を、フードエリア『アースデイキッチン』を通じて提案しています。

Earth Day Tokyo|アースデイ東京は『SDGs(エスディージーズ)』すべてのゴールに取り組んでいます!
 

〇株式会社オハナ不動産

不動産屋さんであるオハナ不動産では、住宅ローンを払えなくなってしまった方への支援として、任意売却を利用した住宅ローン返済の停止や市場価値に近い価格での売却を実現しています。

株式会社オハナ不動産|SDGsの取り組み
 

〇UCC上島珈琲株式会社

収入のために森林破壊が進められていたエチオピアの自然環境と経済的独立を支援するため、UCCでは、エチオピアの森林で自然栽培されているコーヒー豆に注目。
2014年にスタートしたJICA(国際協力機構)「ベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト」に協力する形で品質向上のための技術指導を行っています。

UCC上島珈琲株式会社|森が育む赤いダイヤモンド〜エチオピア ベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト〜
 

〇パナソニック株式会社

パナソニックでは、認定NPO法人かものはしプロジェクトに賛同し、カンボジアの農村地帯で雇用を創出することで、子供が売られない世界を作る支援と並行して、太陽光を利用して発電するソーラーランタンを寄贈するなどの生活支援も行っています。

パナソニック株式会社|COMMITMENTS
 

〇株式会社ジモティー

ジモティーによるユーザー調査の結果、日本のひとり親世帯の約半分(約65万世帯)が利用していることが確認できたことを受け、ひとり親世帯を優先に物品の受け渡し会を実施するなど、ひとり親支援の継続的な活動を行っています。

株式会社ジモティー|SDGsに関する取り組みについて

 

■パートナーとして登録できる地域がある!

独自でSDGs活動を行っている、もしくはSDGsに興味があるという企業や自治体は、地域でパートナー募集が行われているかチェックしてみてください。

茨城県つくば市や神奈川県、沖縄県など、多くの地域でSDGsパートナー登録が可能です。

地域によって、支援制度が異なりますが、SDGsパートナーに登録をすると、情報交換ができる交流会やワークショップへの参加や地域による取組み事例の企業アピール、融資による支援といったメリットを受けることができます。
 

■SDGs目標1「貧困をなくそう」まとめ

今回の記事では以下のことをご紹介しました。
 
  1. SDGsとSDGsが掲げる17の目標について
  2. 目標1「貧困をなくそう」のターゲット
  3. 絶対的貧困と相対的貧困の違い
  4. 日本における相対的貧困について
  5. 世界の貧困状況
  6. 貧困を無くすために私達にできること
  7. 日本の企業によるSDGs目標1の取組み事例
  8. SDGsパートナー登録について

貧困は経済的困窮だけではないことが分かりましたね。
私達の暮らす日本でも多くの方が貧困に陥っているということに驚いたかも多いのでは?
ひとりひとりが貧困とは何なのかを理解することで、SDGsの実現が現実的になります。

以上、『SDGsの目標1とは?意味や事例について解説します』でした。