2020.10.12

地方創生に繋げるためのSDGsの活用方法と事例

4.質の高い教育をみんなに 11.住み続けられるまちづくりを 17.パートナーシップで目標を達成しよう
2018年6月に国連サミットにて採択されたSDGs(エス・ディー・ジーズ)。
日本は現在、世界各国に比べるとSDGsの達成率が芳しくありません。
しかし、現状の課題解決に取り組むべくあらゆる施策が用いられています。

そのひとつが「地方創生」や「地域活性化」です。

政府と企業、自治体などが協力して実現を目指すSDGsですが、地方創生や地域活性化に向けてどのようなアプローチが取られているのでしょうか?

今回はSDGsと地方創生、地域活性化の関係性とその取り組み事例をご紹介します。

 

■SDGsは17の目標に向けて取り組むべき課題のこと

SDGsの目標
SDGsは、国連加盟国193か国が2016年から2030年までの15年間で達成すべき目標をまとめたもので、内容は17の目標、169のターゲットに定められています。
 
No. 目標 条文
1 貧困をなくそう あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
2 飢餓をゼロに 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
3 すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4 質の高い教育をみんなに すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5 ジェンダー平等を実現しよう ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る
6 安全な水とトイレを世界中に すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8 働きがいも経済成長も 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9 産業と技術革新の基盤をつくろう 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10 人や国の不平等をなくそう 各国内及び各国間の不平等を是正する
11 住み続けられるまちづくりを 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12 つくる責任 つかう責任 持続可能な生産消費形態を確保する
13 気候変動に具体的な対策を 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14 海の豊かさを守ろう 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15 陸の豊かさも守ろう 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16 平和と公正をすべての人に 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17 パートナーシップで目標を達成しよう 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

▼ターゲットについてはコチラをチェック!
imacocollabo|SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説

目標を見て頂くと分かる通り、SDGsは、あらゆる面で国々と人々の平等を目指すとともに、地球全体の環境の改善を目指して活動しています。

 

■「地方創生」と「地域活性化」ってどう違うの?

言葉

〇地方創生とは

メディアでもよく耳にする『地方創生』ですが、「そもそも地方創生ってなに?」という方も多いのではないでしょうか?

地方創生は、東京圏への人口集中を緩和するために地方を住みやすい環境にし、日本における社会全体を活力あるものにすることを目的としたものです。
第2次安倍政権時に掲げられました。
 
地方創生が目指す4つの基本目標
・「稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」
・「地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる」
・「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
・「ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる」

4つの基本目標達成に向けて、「多様な人材の活躍を推進する」、「新しい時代の流れを力にする」というテーマのもとにした政策を進めています。

居住地に関係なく、私たち民間人にも関係した政策もあるんですよ♪

私達に身近な地方創生の施策としては、「ふるさと納税」や「移住支援金」、「地方インターンシップ」などがあるほか、最近ではコロナウィルスの支援金、『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金』が盛り込まれました。
 

〇地域活性化とは

地域活性化も地方創生と同じように、耳にする機会の多いワードですが、地方創生が明確に目的や政策があるのに対し、地域活性化には特段の決まりはありません。

イベント実行やご当地キャラクター、B級グルメの発案などの話題性を作り、地方の人口を増やしたり、税収を上げたりすることで活性化を図っています。
自治体で行うものや商店街が主導で行うものなど、規模の大きさもさまざま!

地方創生のための活動が、結果として地域活性化に繋がる部分も多くいんですよ♪

それでは、SDGsが地方にどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。

 

■SDGsが担う地方創生の役割

役割
地球規模の目標であるSDGsですが、地方創生にはどのような役割があるのでしょうか?
ここではSDGsの活用方法をご紹介します。
 

〇居住する地域の取り組むべき課題が見つかる!

SDGsは先に説明した通り、ターゲットと目標が定められています。
定められた内容と地域を照らし合わせることで、客観的に地域の現状を見ることができるほか、気付かなかった課題を見つけることができるかもしれません。

上記に加え、SDGsは世界各国との比較も可能です。
具体的かつ明確に地域と世界の違いが分かるのでアプローチもしやすくなります♬

 

〇連携が取りやすくなる!

IKUSA|地方創生にはSDGsが有効?具体的な事例もご紹介では、SDGsは世界のものさしとしての役割のほか、ステークホルダーとの共通認識を高める役割もあるとしています。

ステークホルダー=利害関係者のこと。
地方創生のステークホルダーは、行政や民間事業者、そして市民のことです。
目標を統一することで、連携のしやすさや行動力・実行力のアップが期待できますね!

 

■SDGs未来都市の選定を目指そう!!

スタート
SDGsを活用して地方創生を進める際のアピールとなるのが、政府の施策である『SDGs未来都市』の選定と『ジャパンSDGsアワード』の受賞です。
ここでは、『SDGs未来都市』選定基準と『ジャパンSDGsアワード』についてまとめます。
 

〇SDGs未来都市の選定基準

SDGs未来都市は、SDGsへの取り組みに積極性が見られる自治体を政府が評価するもの。
選定は毎年行われており、各都市30前後の自治体をSDGs未来都市に旋転しています。

選定は、内閣府地方創生推進事務局による〇×形式の整理自治体SDGs推進評価・調査検討会によるポイント方式の評価の2段階のシステムによって選定。
将来のビジョンや自治体SDGsの推進に資する取り組み、推進体制、自治体SDGsの取り組み実現可能性といった点を重要視しています。

SDGs未来都市に選定された自治体のうち、より積極性が見られると政府が認めた自治体は、さらに「自治体SDGsモデル事業」として認定されることも!

【2019年に「自治体SDGsモデル事業」に選定された自治体】
自治体 事業名
福島県郡⼭市 SDGs体感未来都市 こおりやま
神奈川県⼩⽥原市 ⼈と⼈とのつながりによる「いのちを守り育てる地域⾃給圏」の創造
新潟県⾒附市 「歩いて暮らせるまちづくり」ウォーカブルシティの深化と定着
富⼭県南砺市 「南砺版エコビレッジ事業」の更なる深化
〜域内外へのブランディング強化と南砺版地域循環共⽣圏の実装〜
福井県鯖江市 ⼥性が輝く「めがねのまちさばえ」
〜⼥性のエンパワーメントが地域をエンパワーメントする〜
京都府舞鶴市 『ヒト、モノ、情報、あらゆる資源がつながる“未来の舞鶴”』創⽣事業
岡⼭県⻄粟倉村 森林ファンドと森林RE Designによる百年の森林事業Ver.2.0
熊本県熊本市 熊本地震の経験と教訓をいかした地域(防災)⼒の向上事業
⿅児島県⼤崎町 ⼤崎システムを起点にした世界標準の循環型地域経営モデル
沖縄県恩納村 「サンゴの村宣⾔」SDGsプロジェクト

積極的なSDGs活動が認められると、国からの支援金として補助金などを受けることができます。
 

〇ジャパンSDGsアワード

ジャパンSDGsアワードは、SDGsを達成するための積極的な取り組みをしている企業や団体をSDGs推進本部が表彰するもの。
公募による受付の後、選考委員会によって決定されます。

賞は、「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」、「SDGs副本部長(内閣官房長官)賞」、「SDGs副本部長(外務大臣)賞」、「SDGsパートナーシップ賞(特別賞)」の4つ。
アワードは、2020年までの間に3度行われました。
 
「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞した団体
第1回:北海道下川町
第2回:株式会社日本フードエコロジーセンター
第3回:魚町商店街振興組合(福岡県北九州市)
 

■SDGsを活用した地方創生の事例

SDGs
SDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業に選定された自治体の活動を見ていきましょう!
 

〇北海道ニセコ町

2018年にSDGs未来都市、及び自治体SDGsモデル事業に選定された北海道ニセコ町は、SDGsの17の目標のうち、「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「目標11:住み続けられるまちづくりを」、「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」に重点を置いてSDGsに取り組んでいます。

エネルギーや建築関係の専門家との連携を強くすることで、人材育成を充実させ、エネルギー消費が少なく防災に強い住宅のノウハウを獲得しました。

専門家との連携に加え、地域運営組織を導入。
また、地域に暮らす人々のSDGs活動への参加と情報共有を実施しました。
これらは自治組織の展開を図ることを目的としています。

ニセコ町が自治体SDGsモデル事業として提案した「NISEKO生活・モデル地区構築事業」では、CO2排出率の47%削減と400人規模の街区形成を目指すとのこと。
 

〇長野県

長野県では、人口減少によって起こると予想される交通機関や町の機能の低下が懸念される中山間地に活気をもたらすことを目的とし、経済・社会・環境に関する問題を解決するためにSDGsをもとにアプローチを実施しています。

長野県が自治体SDGsモデル事業として提案するのは、『”先端技術×シェアリング”によるスマート・ハイランド構想』です。

”先端技術×シェアリング”によるスマート・ハイランド構想は、スマートフォンアプリを使ったシェアサービスや、官民一体となった配送サービスの提供といったサービスを構築するとともに、エネルギーの有効利用と資源調査を行うというもの。

長野県の提案する”先端技術×シェアリング”によるスマート・ハイランド構想によって、中山間地でも住みやすい環境を整備することを目指しています。
 

■SDGsを活用した地方創生についてのまとめ

今回は以下の点についてご紹介しました。
 
  1. SDGsの基本的な概要
  2. 地方創生と地域活性の違いについて
  3. SDGsが担う地方創生の役割とは
  4. 政府によるSDGs活動取組のための施策
  5. SDGs未来都市と自治体SDGsモデルについて
  6. SDGsを活用した地方創生事例

SDGsは国連サミットによって採択された、人々の平等と環境保全について目標を定めたスケールの大きいものですが、SDGs達成のための一旦を担っているのは地方であり、そこに暮らす人々の力であるようです。
また、SDGsを活用した地方創生が地域活性化に繋がることが分かりましたね!

SDGsに関する補助金や政府の施策については、随時更新されます。
以下に関連サイトのURLを記載してあるので、ぜひチェックしてみてください★

以上、「地方創生に繋げるためのSDGsの活用方法と事例」でした。
 

〇関連サイト

一般社団法人日本SDGs教会|トップページ
外務省|ジャパンSDGsアワード