2020.10.26

SDGsの目標2とは?意味や事例について解説します

2.飢餓をゼロに
持続可能な開発目標『SDGs(エスディージーズ)』は、ミレニアム開発目標『MDGs(エムディージーズ)』の後継として採択された、現代における国際社会共通の目標です。
しかし、SDGsが目指す目標がイマイチ分からないという方も少なくありません。

この記事では、SDGsが掲げた17の目標の中から『目標2:飢餓をゼロに』にスポットを当て、事例などを交えながら解説します。
 

■飢餓の状況と原因、改善策

器を持つ子供
飢餓とは、食料不足を理由とした栄養不足によって健康状態を維持できない状態のこと。

国際農林業協働協会が公表した「世界の食料安全保障と栄養の現状2019年報告 (FAO)」によると、2018年現在の世界人口のうち9人に1人が栄養不良だとしています。

飢餓で苦しんでいる人の多くは、発展途上国の人々です。
飢餓状態に陥ると、病気やケガで命を落としやすくなりだけでなく、子供の成長が遅れたり、若い人たちが亡くなったりすると国そのものの成長や発展に悪影響を及ばします。
 

〇飢餓の原因

8億人以上いるとされる飢餓。
貧困や紛争など、飢餓の原因はさまざまですが、地震、津波、洪水をはじめとする自然災害が発生しやすいエリアに暮らす人々が飢餓になりやすいとされています。

▼世界の飢餓状況を詳しく知りたい方はコチラ
gooddo マガジン 社会課題やSDGsに特化した情報メディア|持続可能な開発目標・SDGsの目標2「飢餓をゼロに」のターゲットや現状は?
 

〇飢餓、栄養不良に必要な支援

飢餓や栄養不良を改善するために行われている主な支援を以下にまとめました。
 
・自立支援 インフラ整備や設備の建設など、生活の基盤を作るための支援。
・子供への支援 子供の飢餓・栄養不良を防ぐために学校給食を支援することは、教育の場へ行くことに繋がります。
・母子への支援 食料不足が深刻な地域では、母子が飢餓になりやすいとされているため、栄養支援や産後のサポートが必要です。
・環境作り 自然災害や紛争といった原因で飢餓状態になっても再建しやすい環境を作ることが求められています。
 

上記に近年問題となっている人口増加への対策も必要です。
需要者に比べて供給量が少ないため、有効的な対策と支援が無ければ、飢餓や栄養不良はより深刻化していってしまうでしょう。

現在、飢餓を無くし、人として十分な生活を営めるため目標が次項でご紹介するSDGsに盛り込まれており、国際社会全体で飢餓を無くすための活動が始まっています。

 

■SDGsとは

SDGs
SDGsは、「Sustainable Development Goals(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を取った言葉で、持続可能な開発目標という意味を指しています。
2015年に開催された国連サミットで採択されました。
 

〇SDGs17の目標

SDGsは、17の目標で構成されています。
 
SDGsの目標
  • 目標1「貧困をなくそう」
  • 目標2「飢餓をゼロに」
  • 目標3「すべての人に健康と福祉を」
  • 目標4「質の高い教育をみんなに」
  • 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • 目標6「安全な水とトイレを世界中に」
  • 目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」
  • 目標8「働きがいも経済成長も」
  • 目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
  • 目標10「人や国の不平等をなくそう」
  • 目標11「住み続けられるまちづくりを」
  • 目標12「つくる責任、つかう責任」
  • 目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • 目標14「海の豊かさを守ろう」
  • 目標15「陸の豊かさも守ろう」
  • 目標16「平和と公正をすべての人に」
  • 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

現代の国際的な目標であるSDGsは、人同士・国同士の広義の意味での平等、環境保全・社会まで広範囲に課題を定めており、2016年から2030年までの15年間で、それらの課題の改善、解決を図るために積極的な活動をしています。

今回取り上げる目標2の活動では、『飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する』ことを目指します。
 

〇目標2「飢餓をゼロに」のターゲットと意味

SDGsの掲げる17の目標には169のターゲットが定められています。
以下は、今回スポットを当てている『目標2:飢餓をゼロに』のターゲットです。
 
SDGs『目標2:飢餓をゼロに』のターゲット
No. 内容
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層および幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2 5歳未満の子どもの発育障害や衰弱について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養失調を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦および高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3 2030年までに、土地その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場および高付加価値や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民族、小規模な家族経営の農家、牧畜家および漁師をはじめとする、小規模食糧生産者の農業生産性および所得を倍増させる。
2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水およびその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
3.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源およびこれに関連する伝統的な知識へのアクセスおよびその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発および植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金および同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正および防止する。
2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場およびデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

ターゲットを見て頂くと分かる通り、「目標2:飢餓をゼロに」では、飢餓・栄養不良に対して各側面からのアプローチをし、2030年までに食料の安定化と利益を創出する仕組みを作るためにSDGs活動に取組んでいます。

 

■飢餓に対する日本の取組み事例

飢餓
日本はSDGsの活動以前から飢餓に対しての支援を行っています。
ここからは日本の支援について見ていきましょう。
 

〇WFPを通しての支援

2015年と2019年の2度にわたり、国際連合世界食糧計画(WFP)を通して総額1億9162万ドル、日本円にして約200億(執筆時レートによる換算)の支援が行われました。
 
WFPを通して支援した年 総額
2015年 1億2262万ドル
2019年 6900万ドル

2015年に行われた支援における日本の拠出金は、WFPの「日本政府、27か国に国連WFPを通じて多額の食糧支援」によると、アフリカ・アジア・中東など食糧不足に苦しむ国々27か国の支援に使用されました。

2019年に行われた2度目の支援では、食料不足の支援のほか、気候変動の影響を受けた地域の災害対策のための支援や復興支援などに使用されたとのこと。
 

〇農業技術の提供

農業指導
日本は農業の歴史があり、その技術は現代でも進化をしています。
そんな日本の農業に関する知識と技術を飢餓に苦しむ人々のために提供。
地域に適合した農業技術の開発なども行い、食に対する自立を支援しています。

 

■企業が行う飢餓への取組み

企業
外務省|JAPAN SDGs Action Platdormでは、「飢餓をゼロに」の実現に向けてSDGs活動に取り組む企業の事例を紹介しています。
ここでは、飢餓撲滅のために企業がどのようなアプローチをしているのか、その一部を見ていきましょう。
 

〇味の素株式会社

“Eat Well, Live Well.”のキャッチコピーでお馴染みの味の素株式会社。

味の素では、アミノ酸をはじめとする機能性食品の研究・開発を通して栄養不良の問題に取り組むほか、発展途上国において弱者となる女性や子供の飢餓・栄養不足の解消を目的として、保存性と栄養価が高く、安価に入手できる食品をグローバルに普及させています。
 

〇小川珈琲株式会社

昭和27年に京都で創業した老舗コーヒーショップとして知られる小川珈琲株式会社では、「一杯のコーヒーからできること」をテーマに、フェアトレードやバードフレンドリー認証コーヒーなどの普及を促す活動を通して、コーヒー生産者の生活と地球環境保全を支援しています。
 

〇株式会社日本フードエコロジーセンター

第2回ジャパンSDGsアワードの最優秀賞受賞「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」をしている株式会社日本フードエコロジーセンターでは、目標12をメインに活動。

なかでも、ターゲットのひとつ、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、 収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」を通して、飢餓や栄養不良の原因のひとつである食料不足の改善を図っています。

 

■飢餓・栄養不良の人々のためにできること

できること
多額の寄付や技術提供による支援を個人で行うことはできませんが、飢餓や栄養不良に苦しむ人々のために私達ができることがたくさんあります!
 

〇飢餓の状況を詳しく知る

自分にどのような行動が取れるのかを考える上で大切なのが状況を知ること。
飢餓の状況を知り、何が原因で飢餓が起こっているのか、また、飢餓が続くとどのような事態になってしまうのかを理解することは支援に繋がる大きな一歩となります。
 

〇支援団体に寄付をする

貧困層の多い国への寄付は、金銭から衣料品までさまざまありますが、飢餓に苦しむ人々への支援の多くは金銭の寄付や募金がメインとなっています。

たくさんのお金を寄付する必要はありません。

100円寄付する人が100人いれば1万円に、1000人いれば10万円に!
寄付する人が増えれば、ひとりひとりの寄付額が少なくても大きな金額になります。

国連WFPでは、1,000円の寄付をお願いしています。
毎月1,000円、もしくは1度のみの支援を選び寄付することで、飢餓や栄養不良に苦しむ世界中の人々への支援に繋げることが可能です。

忘れてしまいがちですが、寄付は自分が無理しないことも大切です。
 

〇ボランティアへの参加

ボランティアには、海外の現地へ行き直接支援するボランティアと、日本から間接的に支援するボランティアの2種類があります。

日本で行われる間接的なボランティアは、募金や対象となる支援活動を認知してもらうイベントの開催や準備を手伝うなどが挙げられます。
あらゆる人に関心を持ってもらうことで、大きな支援に繋げることが可能です。
 

〇情報の発信

SNSの普及により、自身の考えや行動を発信しやすくなりました。
これを利用するとともに、拡散を促すことで支援の輪が広がるとともに関心を持ってくれる方が増えていくかもしれません。
 

■SDGsの目標2「飢餓をゼロに」についてまとめ

SDGsが掲げる17の目標のうち、「飢餓をゼロに」にスポットを当てて解説しました。
今回の記事でご紹介した内容は以下の通りです。
  1. 飢餓とは
  2. 飢餓の原因について
  3. 飢餓、栄養不良に対する主な支援対策
  4. SDGsとは
  5. SDGsの掲げる17の目標
  6. SDGs目標2『飢餓をゼロに』のターゲット
  7. 日本のSDGs活動と飢餓、栄養不良への支援
  8. 企業が行う飢餓への取組み
  9. 飢餓に対して私達ができること

飢餓への支援もSDGs活動と同様、政府によるものだけでなく、企業や民間時の協力が無ければ解決には至りません。

飢餓の現状を理解し、自分にできることから飢餓の支援を始めてみませんか?

以上、「SDGsの目標2とは?意味や事例について解説します」でした。