2020.10.26

SDGsの目標1とは?貧困の現状と支援のためにすぐにできることをわかりやすく紹介!

1.貧困をなくそう
みなさんは貧困について考えたことはありますか?
開発途上国を中心に世界中の人々が貧困に苦しまされています。
もちろん私たちの暮らしている日本も例外ではありません!

今回は、SDGsによって国際的な取組みが進んでいる貧困についてまとめました。
世界で起きている貧困の実態と、その改善のために私たちができることをご紹介します。
 

■SDGsとは

SDGs
貧困が注目されるようになった要因のひとつがSDGs(エスディージーズ)。
SDGsはSustainable Development Goalsを略した造語です。
日本では持続可能な開発目標と和訳して明記することも少なくありません。

2015年に国連サミットで採択されたSDGsは、2016年~2030年の15年間で人々のあらゆる意味での平等と環境保全、社会に関する課題を解決するための目標を定めています。
 

〇SDGs17の目標と内容

No. 目標 内容
1 貧困をなくそう あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
2 飢餓をゼロに 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
3 すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4 質の高い教育をみんなに すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5 ジェンダー平等を実現しよう ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る
6 安全な水とトイレを世界中に すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8 働きがいも経済成長も 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9 産業と技術革新の基盤をつくろう 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10 人や国の不平等をなくそう 各国内及び各国間の不平等を是正する
11 住み続けられるまちづくりを 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12 つくる責任 つかう責任 持続可能な生産消費形態を確保する
13 気候変動に具体的な対策を 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14 海の豊かさを守ろう 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15 陸の豊かさも守ろう 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16 平和と公正をすべての人に 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17 パートナーシップで目標を達成しよう 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

SDGsの目標達成のため、169のターゲットを設けて取組みを明確にしているのも特徴のひとつ。
方向性を示すことで各国との比較も容易になり、「ものさし」としての役割も担っているほか、新たな課題の発見にも役立っています。
 

■目標1「貧困をなくそう」について

貧困
貧困と聞くと、「食べ物がない」、「お金が無い」ことをイメージするかと思います。
しかし、食べ物がないとはどのくらいのことを言うのか、お金が無いとはいくら以下のことを指すのかを答えることができる人はなかなかいません。

SDGsでは、SDGsに取り組む各国が共通の条件(ターゲット)を共有することにより、他国と比較したり、自国の現状の課題を確認したりすることが可能となっています。
 

〇目標1のターゲット

SDGs『貧困をなくそう』のターゲット
No. 内容
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度および対策を実施し、2030年までに貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、様々な供給源からの多大な資源の動員を確保する。
1.b 各国、地域、および国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。

■世界で起きている貧困

貧困
貧困は、開発途上国はもちろん、先進国であっても深刻な問題です。
ここでは世界の貧困状況についてまとめます。
 

〇国際貧困ライン

SDGs目標1の最初のターゲットに記されている、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」という文面を見て驚いた方も多いかと思います。

ターゲットに記載されている1日1.25ドルは日本円にして約130円。
この金額は、2015年9月まで世界銀行が定めていた国際貧困ラインです。
 
国際貧困ラインとは
貧困を定義付けるために定めたボーダーラインのこと。

国際貧困ラインは、2015年10月に1.90ドル(日本円=約200円)に改定されました。

国際貧困ライン以下で生活する人々を貧困人口と呼びます。

SDGsでは、旧国際貧困ラインの状況下で生活している人を支援し、貧困人口を減らすことを第一のターゲットとしています。
 

〇貧困には2つの種類がある

貧困には2つの種類があるのをご存知でしょうか。
以下をご覧ください。
 
カテゴリー 内容
絶対的貧困 食べ物や家がないなど、人として最低限の生活が維持できない状態のこと。
相対的貧困 世帯の所得が、国の平均的な所得の半分に満たない状態のこと。

先進国では相対的貧困が多いとされるのに対し、開発途上国では絶対的貧困、もしくは2つの種類を合わせた極度の貧困状態にある人も。
 

〇貧困人口の増加

国際連合広報センターによると、貧困人口は世界で8億3600万人。
その多くが開発途上国に集中しています。

開発途上国は、環境によって生活が左右される仕事に従事していることが多いほか、一部の国では、経済成長による人口爆発と相まって貧困が深刻な課題に。
貧困を救うためには、環境の整備や社会性の構築など、さまざまな対策が必要です。
 

■日本でも起きている貧困の実態

空っぽの財布
意外と思うかもしれませんが日本でも貧困は深刻な問題です。
日本で多いのは相対的貧困とされています。

相対的貧困は表面上分かりづらいのが特徴のひとつ。
日本は先進国の中でも相対的貧困率が高く、2016年に公表された世界の貧困率の比較データによると、先進国の中で14番目に高い貧困率です。
 
相対的貧困率とは
相対的貧困率とは、世帯の可処分所得(税金などの非消費支出を差し引いた手取り分)を世帯人数で割って調整した等価可処分所得の貧困線に満たない世帯員の割合のこと。

2016年に厚生労働省が発表したデータによれば、日本における貧困はひとり親世帯に多く、7人に1人の割合で貧困状態に陥っています。
 

■貧困を無くすために今すぐ実行できること

手を差し伸べる
世界で深刻な問題となっている貧困を無くすために、私たちは何ができるのでしょうか?
ここからは、支援のために今すぐできることを見ていきましょう!
 

〇フェアトレード品の購入

みなさんはフェアトレードをご存知ですか?
もしかすると飲食店やスーパーマーケットで目にしたことがあるかも!

フェアトレードとは公正公平な貿易のこと。
立場の弱い開発途上国の自立を支援するため、適正価格での取引を行う仕組みです。
消費者は高品質な商品を安価に購入でき、生産者は対価をしっかりと貰えるメリットが!

▼フェアトレードについて詳しくはコチラ
FAIRTRADE JAPAN|トップページ

フェアトレード品を購入するだけで開発途上国の支援ができるのって素敵ですよね♪

【フェアトレード品の例】
  1. コーヒー
  2. 紅茶
  3. カカオ由来の製品
  4. 砂糖
  5. ハチミツ
  6. フルーツ(加工品を含む)
  7. ナッツ類
  8. ワイン
  9. スパイス
  10. ハーブ
  11. オイルシード
  12. 穀物
  13. コットン製品
  14. 化粧品

フェアトレード品を購入する際の目安となるのが認証の有無。

国際フェアトレード認証ラベルは、社会的かつ環境的、そして経済的な基準をもとにした国際的に認知度の高いラベルです。
認証ラベルは消費者にとって安心して購入するための目印としての役割も担っています。
 

〇募金・寄付

貧困に苦しむ人を救うための直接的な支援といえば、「募金」や「寄付」。
受付をしている団体も多くあるんですよ♪

団体を選ぶことで支援する対象を選ぶことも可能です。

1人の募金や寄付金が少なくても、多くの方が参加することで大きな支援に!
例えば、日本の貧困に悩む子供への支援に特化したKATARiBAや世界の貧困人口への支援をしている国連WFPは月1,000円の支援を募っています。

税制優遇の対象となっている団体を通した支援であれば、所得控除、あるいは税額控除(どちらか有利な方)の適用が受けられる節税にも繋がるんですよ♪

貧困に悩む人々のために、気が向いた時にでも寄付や募金に参加してみてください。
 

〇イベントの開催

芸能人などの著名人が開催することも多い、支援を目的としたイベントの開催は少しハードルが高く感じてしまいますが、実は幅広い層の方がイベントを開催しています。
アマチュアのアーティストが開催することも珍しくありません。

イベント開催は利益を募金したり、お客さんから頂いた不用品を寄付したりとさまざま。

なにか趣味や興味を持っている方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
 

〇ボランティアや無料塾への参加

ボランティアの参加がどのように貧困の支援に繋がるのか不思議に思うかもしれませんね。

日本における貧困層へのボランティアの代表はワークショップや学習支援です。
学校に行けない子供や習い事ができずに友達との差が生まれてしまっている子供に向けて、学習支援やワークショップを開催することで、人格形成に関わる体形や学力を平等にする機会が生まれ、結果として貧困への支援に繋がります。

▼無料塾などの学習支援に関してはコチラもどうぞ
SDGs one by one|01.貧困をなくそう

学習指導やワークショップのボランティアは、学生の参加も可能なことも多いですよ♪

外国語が得意な方は、外国人に日本語を教えるのもオススメです。
日本は海外からの人気が高いので、多くの外国人に喜んでもらえるかと思います。
 

■SDGs目標1「貧困をなくそう」についてのまとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、貧困に関する以下のことをご紹介しました。

【記事の内容】
  1. SDGsの紹介
  2. SDGsが掲げる17の目標
  3. 目標1「貧困をなくそう」のターゲット
  4. 国際貧困ラインについて
  5. 絶対的貧困と相対的貧困
  6. 日本の貧困に関する現状
  7. 貧困に苦しむ人を支援するための今すぐできること

日本でも貧困が深刻な問題となっていることに驚いた方もいるのではないでしょうか。
もしかしたら、近くにいる人がそうかもしれません。
意識を少し向けるだけで貧困が身近な問題だと感じることができるようになります。

この記事で、1人でも多くの方が貧困やその支援について考える機会になれたら幸いです。

以上、『SDGsの目標1とは?貧困の現状と支援のためにすぐにできることをわかりやすく紹介!』でした!