2021.02.18

SDGsに関わる食品ロスが起きる理由や原因とは?【世界編】

「食品ロス」という言葉を聞いたことはありますか?

あまり耳馴染みのない言葉ですが、実は「食品ロス」は世界でも注目されている問題なんですよ。

 

そこで今回は「食品ロス問題~世界編~」をピックアップ★

「SDGsと食品ロスの関係」「食品ロスの現状と原因」について詳しく紹介していくので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね☆

 

1“世界共通”の目標の「SDGs」と「食品ロス」

まずは、食品ロスを削減するために行動するきっかけになった「SDGs」について目を向けてみましょう。

SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals(サスティナブル ディベロップメント ゴールズ)」の略で、日本語に翻訳すると「持続可能な開発目標」という意味を指します。

2015年9月の国連サミットで採択された世界共通の目標で、2030年までの目標として国連に参加している国が各々この「SDGs」を達成を目指そう、というのがはじまりです。
 

SDGsを目標として採択する以前には、MDGsというものが存在していました。

しかしこちらは残念な結果を残してしまうことになってしまいます。

 

そもそもMDGsが開発途上国向けの目標だったんです。

そのため日本を含む先進国では、MDGsの目標達成のためについて積極的に取り組んでいかず、自分たちのこととして認識しないことが理由で結果を残せず期限を迎えてしまいます。

 

そんなMDGsの反省を生かし、

「第三者として開発途上国の目標を支援するのではなく、先進国も全員が自分たちのこととして考えられる持続可能な目標をみんなで目指そう」

「開発途上国を援助すること、私たちの将来を考えて生活すること、地球のことを考えることを大切にする目標をつくろう」

そんな思いから「MDGsを基盤にSDGsの目標」が設定されるんです!

No

主題

副題

1

貧困をなくそう

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

2

飢餓をゼロに

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

3

すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4

質の高い教育をみんなに

 

すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

5

ジェンダーを平等に実現しよう

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る

6

安全な水とトイレを世界中に

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7

エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

8

働きがいも 経済効果も

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9

産業と技術革新の基盤をつくろう

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

10

人や国の不平等をなくそう

各国内及び各国間の不平等を是正する

11

住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

12

つくる責任 つかう責任

持続可能な生産消費形態を確保する

13

 気候変動に具体的な対策を

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14

 海の豊かさを守ろう

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15

陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

16

平和と構成をすべての人に

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17

パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 

「SDGs」では、これらの17項目を基に2030年までという期間を設けて、先進国だけではなく国連に参加している先進国もあわせて193カ国がこの目標を達成を目指しているんです。

 

日本も世界各国も主体的に取り組むことになった「SDGs」

そんな中、注目されているのが飲食業や食品流通業も問題視している「食品ロス問題」です。

 

「SDGs目標12“つくる責任 つかう責任”」では食品ロスの問題についても指摘されているんです。

そんなSDGsの目標達成のために、日本だけではなく世界各国では「食品ロス」の課題解決のために取り組むことになり「食品ロス」は注目されることになりました。

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の具体的なターゲット

1

開発途上国の能力を勘案しつつ、持続可能な小人生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。

2

2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

3

2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

4

2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を再消化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

5

2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

6

特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期的に盛り込むよう奨励する。

7

国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

8

2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

a

開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

b

雇用創出、地方の文化復興、産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

c

開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階定期廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励すす化石燃料に対する非小売な補助金を合理化する。

 

 

2「食品ロス」の現状と原因〜世界に目を向けよう

 

「SDGs」の項目にもあがっている食品ロス。

では食品ロスとは一体何なのでしょうか?

 

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のこと。

過剰に剥いてしまった野菜の皮、調理次第では食べられる野菜の葉っぱ、肉の脂肪など…

そういったものをまとめて「食品ロス」といいます。

 

①「食品ロス」の現状は?

では実際に食品ロスの現状に目を向けてみましょう。

 

まず前提として、日本では一人当たりの年間食品ロスの量がおよそ50キロだといわれています。

人一人分のゴミを捨てていると考えているとわかりやすいかもしれません。

 

さらに日本全体で見た時の食品ロスの量は640万トン。あまりにも膨大な数字ですよね。

これは国民一人当たり毎日お茶碗一杯分のごはんを捨てているのと同じことなんですよ!

そう考えると、世界での食料廃棄量や食品ロスの量ってとてつもない数字だということがわかりますよね。

 

日本ではそれだけの量の食材が食品ロスとして廃棄されていますが、先進国と開発途上国ではどのような現状になっているのかをみていきましょう。

 

【先進国の場合】


地球規模で考えた際に「食品ロス」のほとんどは『先進国から出るものばかり』です。

その数なんと13億トン。とんでもない数字ですよね。

 

①開発途上国と比較しても先進国が出す食品ロスの量は多い(特に多いのは北アメリカとヨーロッパ)

②大量生産をして、流通段階で廃棄がある という今の先進国の流通などを考えると、どうしても大量の「食品ロス」が出てしまいます。

 

また先進国で出る食品ロスや廃棄をなくすことで、20億人の人々の食料を確保できることも明らかになっているんです。

しかし、一般家庭での食品ロス対策はまだまだ甘く、日本を含む先進国の浸透率が低いのが現状です。

 

【開発途上国の場合】


開発途上国の場合でも「食品ロス」は起こります。しかし、先進国のように“食品流通の段階”で起こるのではなく“生産段階”で起こることがほとんです。

 

①インフラ整備がされていないため流通がいかないため食品ロスが誕生

②人手不足のため生産段階で廃棄が出る 

これらの段階で「食品ロス」が生まれてしまいます。

数字で見ると先進国の半分ほどですが、開発途上国の場合にも食品ロスは起こります。

しかし、開発途上国の場合はもっと深刻な問題があるのが現状です。

 

それは「食料が必要な人に届かない」ということ。

SDGsの項目の中にも「飢餓」という言葉が出てきますよね。

生産段階で食品ロスが起こるということは、せっかく生産してもその分必要な人たちに食材は届かないまま廃棄されてしまうということになります。

 

開発途上国の場合は「食品ロスで起こる飢餓」の方が問題視されているということも忘れずに!

 

②食品ロスが起こる原因


さきほどの紹介した「食品ロス」の現状をふまえて、どうして食品ロスが起こってしまうのかについて原因を探っていきましょう。

 

【先進国の場合】

先進国は人手も多くあり、物流も豊かなだけあって飢餓などは起こりえません。

逆に食品が過剰に生産、輸入されてしまうが故に「食品ロス」が怒ってしまうんですよ。

 

①過剰生産をしてしまう

②食品流通の「外観品質基準」によって規格外のものが外されてしまう

③大量陳列と幅広い品数によってロスが生まれる

 

私たちが普段スーパーなどで手に取る食材は見た目がいいものばかりですよね。

それは規格内の商品だけを厳選して販売しているから。

 

規格外のものはすべて流通段階で「食品ロス」へとまわってしまいます。

さらに大量購入、大量販売などの安価を求めるあまり、消費者である私たちも過剰購入してしまいがちに…

 

物が豊かなのはとてもいいことですが、本当にそれが必要なのかどうなのかをもう一度考え直してから購入する必要がありますね。

 

【開発途上国の場合】

さきほどの現状でも説明しましたが、開発途上国の場合はそもそも必要な人に食品が行き届いていないことがあります。

 

さらに食品ロスをさらに悪化させてしまう原因として、

①生産しても収穫しきれず廃棄になる

②衛生的なお店が少なく、非衛生な場で食品が傷んでしまう など…

 

せっかく収穫しても傷んでしまったりするのはとてももったいないですよね。

輸出や人手不足の解決、インフラ整備が整っていないため「食品ロス」が増えてしまっているのではないでしょうか?

 

ですが、開発途上国の場合には、農業に対する技術支援やインフラ、保存設備、加工施設の整備を促すことで改善される可能性があるので、先進国が手助けをすれば改善するのではないでしょうか?

 

3食品ロスについて調べる際におすすめのサイト


「食品ロス」についての現状や原因がわかったところで、他の世界各国の現状をさらに詳しく調べたい、解決方法が知りたいといった方におすすめのサイトもあわせてご紹介いたします。

 

世界の飢餓の現状と撲滅に向けて~SDGs飢餓をゼロに~

こちらのサイトは食品ロスよりも開発途上国や世界で起こっている「飢餓の問題」について詳細を説明してくれているサイトです。しかし、飢餓と切っても切り離せない食品ロスの問題についても触れたり、食品ロスを減らすとどのように飢餓問題の対策になるのかが説明されているので気になる方はこちらをチェックしてみてくださいね。

 

食品ロス(フードロス)とは?発生する原因や世界の現状、必要な対策とは

こちらのサイトでは、食品ロスについて現状、原因を踏まえた上で必要な対策についてまとめられています。日本だけではなく、世界に視野を向けて内容がまとめられているのでわかりやすくておすすめのサイトです。

 

考えよう、飢餓と食品ロスのこと。

こちらのサイトでは、食品ロスと飢餓のことについてふれられています。先進国と開発途上国ではどのようなちがいがあるのか、日本の食品ロスがどれぐらいの量なのか、開発途上国の料理の写真などと一緒にまとめられています。実際のものを目にするというのはとても大切なことですよね。開発途上国の現状をもっと詳しく知りたいという方はこちらのサイトを覗いてみてくださいね。

 

4SDGsと食品ロスについてのまとめ

いかがでしたか?

 

それでは今回のおさらいです。

【SDGsに関わる食品ロスの原因~世界編~】

・SDGsと食品ロスの関係

・食品ロスの現状(先進国と開発途上国のちがい) についてご紹介しました。

 

今回の「食品ロス」の現状や原因を踏まえて、世界各国では「食品ロス削減のため」に様々な取り組みが行われています。

ぜひSDGsのためにも、食品ロスを削減するためにも、私たちの将来のために、今できることをしてみてくださいね。

 

《参考サイト》

我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成28年度)の公表について