2021.04.19

SDGs達成のために解決すべき食品ロスの現状とは?【世界編】

「食品ロス」「飢餓」「SDGs」といったような言葉を最近耳にしたことはありますか?

私たちとは切っても切り離せない「食事」には、どうしても廃棄物がついてまわってしまいますよね。
そんな廃棄の中でも「食品ロス」というものが注目されているんです。

日本だけではなく、世界各国でも取り組まれている「SDGs」そして「食品ロスの課題」

そこで今回は【SDGsと食品ロス問題】についてピックアップ。
「SDGsとはなにか」「食品ロスとSDGsの関係」「世界の食品ロスの現状」「食品ロスに対する取り組み例〜世界編〜」について幅広く紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね☆
 

1“世界共通”の目標の「SDGs」と「食品ロス」

「食品ロス」が世界各国で注目されて、食品ロスを削減するために行動するきっかけになった「SDGs」について少しふれておきましょう。

SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals(サスティナブル ディベロップメント ゴールズ)」の略で、日本語に翻訳すると「持続可能な開発目標」という意味です。

2015年9月の国連サミットで採択された世界共通の目標で、2030年までの目標として国連に参加している国が各々この「SDGs」を達成を目指そう、というのがはじまりになります。

SDGsを目標として採択する以前には、MDGsというものが存在していました。

しかしこちらはあまり芳しくない結果を残してしまうことに…

 

なぜならMDGsが開発途上国向けの目標だから

 

私たちがいま住んでいる日本は先進国なので、MDGsの目標については自分たちのこととしての認識がありません。さらにメディアやSNSなどでも見かける機会は少なかったですよね。

・先進国が積極的に取り組んでいかないこと

・自分たちのこととして認識しないこと といった考えが他の国でも一般化していたこともあり、MDGsは結果を残せず期限を迎えてしまいました。

 

そんなMDGsの反省を生かし、「第三者として開発途上国の目標を支援するのではなく、先進国も全員が自分たちのこととして考えられる持続可能な目標をみんなで目指そう」という考えが生まれます。

 

開発途上国を援助すること、私たちの将来を考えて生活すること、地球のことを考えること。

そんな思いから「MDGsを基盤にSDGsの目標」が設定されます。

その内容がこちらです。

No

主題

副題

1

貧困をなくそう

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

2

飢餓をゼロに

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

3

すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4

質の高い教育をみんなに

 

すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

5

ジェンダーを平等に実現しよう

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る

6

安全な水とトイレを世界中に

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7

エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

8

働きがいも 経済効果も

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9

産業と技術革新の基盤をつくろう

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

10

人や国の不平等をなくそう

各国内及び各国間の不平等を是正する

11

住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

12

つくる責任 つかう責任

持続可能な生産消費形態を確保する

13

 気候変動に具体的な対策を

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14

 海の豊かさを守ろう

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15

陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

16

平和と構成をすべての人に

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17

パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 

「SDGs」にはこれらのように大きく分けて17項目の目標があります。

この17項目を基に、2030年までという期間を設けて、先進国だけではなく国連に参加している先進国もあわせて193カ国がこの目標を達成を目指しているんです。

 

こうやって日本を含めた先進国もSDGsの目標達成に向けて動き出した2年後である、2017年。SDGsの巨大な経済効果が発表されました。その額なんと12兆ドル。

あまりにも大きな数字ですよね。しかもドルなので日本円にしたら12兆円ではありません。もっと大きな額になるんです。

その結果、一般企業も名乗りを上げてSDGsの目標達成のために力を入れ始めました。
 

そこで注目されているのが飲食業や食品流通業も問題視している「食品ロス問題」

「SDGs目標12“つくる責任 つかう責任”」では食品ロスの問題についても指摘されているんです。

そんなSDGsの目標達成のために、日本だけではなく世界各国では「食品ロス」の課題解決のために取り組むことになりました。

 

SDGsの目標12の詳細についてはこちらに目を通してみてくださいね。
特に食品ロスに関しては12-3が関わりがあります!

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の具体的なターゲット

1

開発途上国の能力を勘案しつつ、持続可能な小人生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。

2

2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

3

2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

4

2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を再消化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

5

2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

6

特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期的に盛り込むよう奨励する。

7

国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

8

2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

a

開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

b

雇用創出、地方の文化復興、産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

c

開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階定期廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励すす化石燃料に対する非小売な補助金を合理化する。

 

2「食品ロス」ってなに?世界ではどれくらい食品ロスが出ているの?

「SDGs」と深く関わりのある「食品ロス」

では食品ロスとは一体何なのでしょうか?

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のこと。
過剰に剥いてしまった野菜の皮、調理次第では食べられる野菜の葉っぱ、肉の脂肪など…

そういったものをまとめて「食品ロス」といいます。

 

世界の「食品ロス」の現状

食品ロスの現状と世界との比較

こちらのサイトでは食品ロスの現状を日本と世界とで比較して紹介してくれています。

図や表を用いてわかりやすくまとめられているので気になった方はチェックしてみてくださいね☆

 

今回はこちらで紹介されているデータを参考に日本と世界とで比較していきます。

 

日本では一人当たりの年間食品ロスの量がおよそ50キロだといわれています。

さらに日本全体で見た時の食品ロスの量は640万トン。あまりにも膨大な数字ですよね。

日本だけにピックアップしてみると、世界全体が援助している食料の量の約2倍の数字なんるんだとか…

 

そう考えると、世界での食料廃棄量や食品ロスの量ってとてつもない数字だということがわかりますよね。

いくら私たちが開発途上国や、食糧不足で困っている人たちに寄付や援助をしたところで実際にはこれだけ多くの食品が廃棄されているというのは問題以外のなにものでもありません。

 

さらに日本だけではなく、世界規模で比較した時にはさらに食品ロスの量が増えるとなるとどれだけ食料を無駄にしているのかということが現状なんです!

食料廃棄量

一人当たりの食料廃棄量

食品ロス

一人当たりの食品ロス

日本

1700万トン

133.6キロ

640万トン

50キロ

アメリカ

5640万トン

177.5キロ

フランス

999~1327万トン

148~200.5キロ

469~602万トン

83キロ(推定)

ドイツ

1092万トン

136キロ

イギリス

1200万トン

187キロ

900万トン

142キロ

中国

1億300万トン

75.47キロ

韓国

590万トン

114キロ

 

3食品ロスを減らすための取り組み例

それでは実際に、世界ではどのようにして「食品ロスの課題」について対策をとっているのでしょうか?

フランス、スペイン、オーストラリアでの「食品ロスの取り組み事例」をピックアップしたので見ていきましょう!

それぞれの国では日本にはない法律やプロジェクトが発足されています。
こういった取り組みは日本でする場合には難しいかもしれませんが、世界での「食品ロス」に対する取り組みを参考にしてみるといいかもしれませんね。

またどの国でも共通して、個人が「食品ロス」の問題について向き合っていることが伺えます。
日本でもひとりひとりが「食品ロス削減」を意識して行動することが、食品ロスの削減のためには何よりも重要なのかもしれませんね。
 

事例

内容

備考

フランス

食料廃棄禁止法の制定

・2006年2月に「食料品廃棄禁止法」という法律が制定。一定以上の規模のスーパーなどで賞味期限切れの食料品を廃棄することが原則禁止になった。

・「鶏を飼育して食料廃棄を削減する」プロジェクトも一部で開始。

一般家庭での鶏の飼育をしようとするプロジェクト。

(家庭から排出された生ゴミを飼料として活用、新鮮な卵を得られる)

※任意のプロジェクトのため普及は率は低い

スペイン

連帯冷蔵庫の導入

・スペインのバスク自治州で屋外に共同の冷蔵庫を設置。

・貧困者への食料援助と食品ロス削減が目的。

・家庭や飲食店などで余った食材を共同の冷蔵庫に入れて、欲しい人が持っていけるというシステム(≒シェアリングエコノミー)

オーストラリア

無料スーパーの導入

・オーストラリアのメルボルンで開店した「無料スーパー」

・生活困窮者に野菜などを提供するのが目的だった。

・野菜以外の食品ロス削減に成功。

・近隣住民や飲食店での食品の提供があって、現在の段階になっている。

 

4世界規模の「食品ロス」問題と向き合おう

いかがでしたか?

それでは今回ご紹介した内容のおさらいです。
【食品ロスの現状について】
・SDGsと食品ロスの関係
・食品ロスとは?
・食品ロスの現状
・世界での食品ロスに対する取り組み事例 について紹介しました。

日本でも「食品ロス」削減のためにさまざまな取り組みがなされています。
今回は世界に注目してご紹介しました、世界規模での現状を受けて今後の「食事」を見直してみてはいかがでしょうか♪

 

《参考サイト》
事業系および家庭系の食品廃棄物発生量、再生利用料の主要国比較
国際開発センター