2021.02.10

SDGs達成に向けてレストランが行っている取り組み事例を紹介します【海外編】

食は私たちの生活の中でとても大切なものですよね。

そんな食が今後不安定になる可能性があるのはご存知ですか?

 

そこで今回は【SDGsとレストラン】についてピックアップ!

「SDGについて」「サスティナブルフードについて」「海外のレストランで取り組んでいるSDGsの事例」についてご紹介いたします★

 

1SDGsとサスティナブルの関係


はじめてSDGs(エスディージーズ)という言葉を聞いた方もいらっしゃいますよね。

そんな方のためにまずは「SDGs」について復習しておきましょう!

 

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(サスティナブル ディベロップメント ゴールズ)」の略で、日本語に翻訳すると「持続可能な開発目標」という意味になります。

 

2015年9月の国連サミットで採択された世界共通の目標で、2030年までの目標として国連に参加している国が各々この「SDGs」を達成するために頑張りましょう!というのがはじまりです。

あくまでも目標でゴールを目指しているので、読み方は「エスディージーズ」になるので注意しましょう。

 

①SDGsの目標おおきくわけて17個!

SDGsには大きくわけると17個の目標が設定されています。

さらに、その目標ごとにターゲットが設定されており数は169個!

 

では、実際にSDGsの中身である「持続可能な開発目標」とは一体なにかをここで少しみていきましょう。

 

No

主題

副題

1

貧困をなくそう

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

2

飢餓をゼロに

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

3

すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4

質の高い教育をみんなに

 

すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

5

ジェンダーを平等に実現しよう

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る

6

安全な水とトイレを世界中に

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7

エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

8

働きがいも 経済効果も

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9

産業と技術革新の基盤をつくろう

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

10

人や国の不平等をなくそう

各国内及び各国間の不平等を是正する

11

住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

12

つくる責任 つかう責任

持続可能な生産消費形態を確保する

13

気候変動に具体的な対策を

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14

海の豊かさを守ろう

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15

陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

16

平和と構成をすべての人に

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17

パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 

私たちにとっては、どうしてそんなことまで目標に含まれているの?と疑問に思うものも含まれています。

 

もともとSDGsはMDGsという開発途上国向けの目標の反省をうけて設定された目標のため、途上国をサポートするような目標も設定されているんです。

それにしても、17個の目標でも細かく決まっていますよね!

 

このSDGsの目標を達成するためには、私たちをはじめ世界の人々が橋梁区する必要があります。

それでは、このSDGsをレストラン業界ではどのように取り組むのかに少し踏み込んでみましょう!

 

2 レストラン業界では重要な「サスティナブルフード」

レストラン業界がSDGsの目標達成のために取り組む上で、注目されているものがあります。

それが「サスティナブルフード」

 

SDGsでも出てきましたが、サスティナブルとは「持続可能な」という意味を表します。

つまりサスティナブルフードとは、持続可能な食品のことです。

 

でも、持続可能な食品って聞いてもいまいちピンとこない…

そんな方もいらっしゃいますよね。

 

それでは少し想像力を働かせましょう!

普段の自分の食卓には日々さまざまなメニューが並んでいますよね。

その食材はどのようにして私たちの手にとられているのでしょうか?

 

農薬を使った野菜、畜産から流通してきた国内産のお肉、添加物がたくさん入った調味料など…実は健康にも、環境にも優しくない可能性があるものを知らず知らずのうちに手に取ってしまっているかもしれないんです。

 

さらに、私たちの食卓に並んでいる食材は無限ではありません。

必要になれば近くのスーパーなどに買いに行きますよね。

 

誰かが手間暇をかけて育て、その分の土地が必要で、効率的に収穫するためにさまざまな方法を使用しています。時には国内生産が難しく、海外から輸入もしています。

ですが、海外生産も一定数は入ってきますが、仮に海外での生産が追いつかなくなれば私たちの食卓に並ぶ食材も減ることになりかねませんよね?

 

そういった現状をふまえて、今後も将来を見据えて持続可能に食べられるように、環境や健康など…さまざまなことに配慮して作られている食べ物のことを「サスティナブルフード」といいます。

 

このサスティナブルフードは、レストラン業界をはじめとする食品業界でも注目されているので覚えておきましょう!

 

①「SDGs」達成のためにはレストラン業界の協力が必要不可欠


では「SDGs」目標達成のためにはレストラン業界の協力が必要になるのかについて、少し背景に目を向けてみましょう。

 

●食品ロスの削減はSDGsのターゲットに設定されている

食品ロスとは、まだ食べられる食材を廃棄してしまうことをいいます。

たとえば野菜の皮や葉、魚の皮や鶏肉の皮などのことです。

 

そんな食品ロスは飲食に関わる業界、つまりレストランでも多く廃棄されているんです。

 

たとえば食べ残しや、調理過程での廃棄など…

食材の過度な廃棄はとてもじゃないですがサスティナブルとはいえません。

さらに、食品ロスの多くは流通過程、そしてレストラン業界から出ていることがわかっています。

そうなるとレストラン業界は、食品ロスを削減する必要が必然的に出てきますよね。

 

実際に、今回紹介する海外の取り組み事例ではこの食品ロス問題に取り組んでいるところがほとんど。

 

食品ロスはSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」でも設定されているので、食品ロスに取り組むということはSDGsの目標達成のためにとても重要だといわれています。

 

SDGs12「つくる責任 つかう責任」

No

ターゲット

1

開発途上国の開発状況や能力を勘定しつつ、持続可能な小人生産に関する計画から10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。

2

2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

3

2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

4

2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

5

2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

6

特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。

7

国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

8

2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

a

開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

b

雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

c

開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

 

3 「SDGs」達成のためにどんな取り組みをしているの?~海外編~

SDGsとレストラン業界の関係がわかったところで、実際にSDGs目標達成のためにレストラン業界ではどのような取り組みをしているのかをみていきましょう!

 

経産牛やノーズ・トゥ・テールを取り入れて食品ロスを削減

先ほども紹介したように、SDGs目標達成のためには「食品ロス削減」が大きな課題となります。

それは日本だけではなく海外でも同様です。

 

そんな食品ロスを削減するために、世界各国のサスティナブルレストランでは「経産牛の使用」や「ノーズ・トゥ・テール」といった新しい食の取り組みが行われています。

 

①経産牛の使用

出産を経験した牛を食用に使用。

従来、経産牛はお肉が硬くそのままの調理に手間がかかること、そのまま調理しただけでは美味しくないからと食材としては好まれませんでした。

 

しかし最近では出産後にも適切に飼育し直した経産牛を使用することで、従来の経産牛=美味しくないという概念を払拭しました。

 

食材の無駄をなくす=食品ロスの削減という観点から経産牛を食材として取り入れるレストランも増えてきているんですよ♪

 

②ノーズ・トゥ・テール

海外では以前から注目されている『ノーズ・トゥ・テール』

動物を丸々一頭使い、食材を余すところなく調理する方法のことです。

 

流通過程で無駄に廃棄されてしまう部位も、丸々一頭購入することで廃棄もされることがなくなるというメリットがあります。

さらに部位で買うよりも希少部位が安価で手に入ることから、お店側のコストもダウンできるんですよ!

 

実際に、イギリスにあるサスティナブルレストラン「Native(ネイティブ)」では、鹿肉をはじめとする狩猟肉や、野菜を向いた皮、魚の皮などのいわゆる食品ロスとして廃棄されてしまう食材を使って独創的な料理を提供して食品ロスの削減に取り組んでいます。

 

レストランがSDGsを取り入れる方法はフードだけではない

レストランでは、調理過程で出る有害物質などの除去に取り組んでいるお店もあります。

 

タイにあるお店「Bo.lan」では、

・プラスチックボトルをなくすための洗浄作業

・ココナッツの廃棄物を炭に変えてグリルの火として利用、さらには残った灰を地球にやさしい洗剤のアルカリ水作りとして有効活用 をしたりして、レストラン業界からも注目されています。

サスティナブルなフードを提供することだけが、レストラン業界にできることではないと実際に取り組んでいるのが特徴です。

 

アジア圏ではまだまだレストラン業界のSDGsの取り入れは少ないですが、フードだけではなく環境の観点からもSDGsの目標達成に取り組めるということを示してくれているのは後に続く企業から見てもありがたいですね。

 

レストランを経営して貧困や飢餓の問題に取り組む

コロンビアの多様な生態系をコンセプトにしたメニューを提供しているお店「Leo」は、貧困や飢餓を解決するのは「食」であるということに注目して、食を通じて貧困を解決しようと取り組んでいます。

 

地元の農業を活性化し、食の伝統を復活させて、食の流通の幅を広げるという取り組みを行なっています。

 

4 レストラン業界でもSDGsは取り組める!

いかがでしたか?

 

それでは今回のおさらいです。

【SDGsとレストランについて】

・SDGsとは?

・サスティナブルフードとは?

・SDGs達成のために取り組んでいるレストランの事例~海外編~ について紹介いたしました。

 

食は私たちの生活の基盤になるものですよね。

そんな食を今後も安定して続けられるように、海外のレストランにならい私たちもひとりひとりが気をつけていきましょう!

 

今回ご紹介したSDGsに取り組むレストランに関わる記事でおすすめのものがこちら♪

シェフ達が語るサステナビリティ/~食の明日のために~vol.10

実際にサスティナビリティを取り入れているレストランのシェフたちが議論し、どのように考えているのかをまとめられている記事です。

シェフがどのような思いで取り組んでいるのかを知りたい方におすすめのサイトです。

 

《参考サイト》

[速報] 2020年「アジアのベストレストラン50」全リスト発表!|日本最高位は【傳】の3位、日本からは新店を含む12店がランクイン