2020.10.14

サスティナブルとは?意味についてわかりやすく解説します

3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 10.人や国の不平等をなくそう 12.つくる責任つかう責任 14.海の豊かさを守ろう 16.平和と公正をすべての人に
近頃メディアなどでも取り上げられるようになった「サステナブル」。

「サステナブルってそもそもなに?」、「SDGsとサステナブルってどう違うの?」など、疑問に思っている方も多いハズ!

サステナブルにはどのような意味が込められているのでしょうか?
今回はサステナブルの意味、そしてサステナブルな社会を、関連のあるSDGsを交えて解説します。

 

■サステナブルとは

環境と人
サステナブルとは、sustainとableが組み合わさった「持続可能な」という意味の言葉です。
現代では、人間・社会・環境について考える際の言葉として使われるようになりました。

国際社会が目指すサステナブルな社会とはどのようなものなのでしょうか?
 

〇サステナブルな社会ってなに?

「サステナブルな社会」は、地球環境を保全することと人の暮らしの豊かさの両立を図り、この先の未来も安心して暮らせる社会を目指すものです。
 

〇「サステナブルな社会」という考えが生まれた背景

人が暮らしの豊かさを求めた結果、地球環境は悪化の一途を辿っています。
サステナブルな社会は、あらゆる環境問題を背景に模索され始めました。
 
環境問題の例
地球温暖化 20世紀に起こった産業革命から増え続ける温室効果ガスの影響で地球全体で気温が上昇する現象です。
砂漠化 砂漠地帯では無かった場所で植物や土壌が育たなくなること。砂漠化すると、食料不足や水不足に陥ります。
森林破壊 木材の大量消費や開墾のための伐採により森林が無くなること。大気浄化機能を持つ森林の減少は、地球温暖化や砂漠化の原因となっています。
酸性雨 化石燃料が燃やされることによって生まれる化学物質が雨に溶け込み酸性雨となります。酸性雨は木々を枯らしたり建物を劣化させるものです。
オゾン層の破壊 人工的に作られた分解されにくく燃えない化学物質である「フロン」がオゾン層を破壊していることが分かりました。
フロンは、エアコンや冷蔵庫の温度を下げたり、発泡スチロールの発泡剤に使われる私達の身近にある物質です。

代表的な環境問題の一部を見て頂きましたが、近年では「人口爆発」も問題に。

発展途上国の人口増加により、世界の人口は急激に増えています。
国際連合の「United Nations (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision.」によると、2017年には約76億人だった人口が、2100年には約112億人に達するという人口推移予測を公表しています。

▼United Nations (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision.について
JIRCAS国際農研|国際連合「世界人口予測・2017年改訂版 [United Nations (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision.]」概要

人類の生存のためには、現在の消費を中心とした社会全体を見直すことが必要です。

 

■2015年に国連がSDGsを採択!

SDGs
サステナブルな社会を実現するため、2000年に「ミレニアム開発目標MDGs(Millennium Development Goals:エムディージーズ)」を、そして、MDGsが期限を迎えた2015年にMDGsをより発展させた「持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)」が採択されました。

▼SDGs採択までの簡易年表はコチラ
Benesse|サステナブルとは?
 

〇MDGsが目指した8つの目標

MDGsが掲げた8つの目標
  1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
  2. 初等教育の完全普及の達成
  3. ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  4. 乳幼児死亡率の削減
  5. 妊産婦の健康の改善
  6. HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
  7. 環境の持続可能性確保
  8. 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

発展途上国の社会開発をメインとしたMDGsは、飢餓人口の半減をはじめとする一定の成果を挙げました。

 

〇SDGsの掲げる17の目標

No. 目標 条文
1 貧困をなくそう あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
2 飢餓をゼロに 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
3 すべての人に健康と福祉を あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4 質の高い教育をみんなに すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
5 ジェンダー平等を実現しよう ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る
6 安全な水とトイレを世界中に すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
8 働きがいも経済成長も 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9 産業と技術革新の基盤をつくろう 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
10 人や国の不平等をなくそう 各国内及び各国間の不平等を是正する
11 住み続けられるまちづくりを 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12 つくる責任 つかう責任 持続可能な生産消費形態を確保する
13 気候変動に具体的な対策を 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14 海の豊かさを守ろう 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15 陸の豊かさも守ろう 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16 平和と公正をすべての人に 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17 パートナーシップで目標を達成しよう 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

SDGsは、MDGsをもとに先進国と発展途上国、すべての国が2030年までにサステナブルな社会を実現するためにまとめた17の目標、169のターゲットのことで、環境・人・経済といった広範囲な課題に対して国際社会全体で解決に向けて取り組んでいます。

 

■SDGs普及のための政策と活動参加のメリット

SDGs
サステナブルな社会を目指すためのSDGsは、政府だけでなく企業や自治体の協力、そしてなによりも私達ひとりひとりの意識改革なければ実現できません。

この項では、日本で行われているSDGs普及のための政策とSDGs活動によって得られるメリットを見ていきましょう。
 

〇SDGsアクションプラン2019

日本政府は、「SDGsアクションプラン2019」を発表しました。
これは、SDGs推進のための取組みについて、どの分野をメインにするのかを示したもの。
 
SDGsアクションプラン2019でメインとなる分野
  1. あらゆる人々の活躍の推進
  2. 健康・長寿の達成
  3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術、イノベーション
  4. 持続可能で強じんな国土と質の高いインフラ整備
  5. 省エネ・再エネ、気候変動対策、循環型社会
  6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
  7. 平和と安全・安心社会の実現
  8. SDGs実施推進の体制と手段

それぞれの分野には、日本独自のターゲットが定められています。
ターゲットの中には、次世代を担う現代の子供たちへの教育実施や企業の支援も!
 

〇SDGs未来都市

政府は、SDGs推進を目的として、2018年から「SDGs未来都市」の選定を開始。
積極的にSDGs活動に取り組んでいる都市が評価されるようになりました。

SDGs未来都市に選定されると都市のアピールに繋がるほか、とくに優秀だと評価された都市には、さらに「自治体SDGsモデル事業」として選定され、国からの補助金を受けることができるようになります。

選定基準は以下をご覧ください。

SDGs未来都市等選定基準(評価項目と評価・採点方法)
 

〇ジャパンSDGsアワード

ジャパンSDGsアワードは、企業や団体のSDGs活動の取組みに対し賞を贈るもの。

「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」、「SDGs副本部長(内閣官房長官)賞」、「SDGs副本部長(外務大臣)賞」、「SDGsパートナーシップ賞(特別賞)」が用意されています。

JAPAN SDGs Action Platform|ジャパンSDGsアワード
 

■ESD教育とは

勉強
次世代のサステナブルな社会実現を担う子供への教育として政府が推進しているのがESD教育(Education for Sustainable Development)、『持続可能な開発のための教育』です。

ESD教育は、現代社会の問題と向き合い、問題解決に繋げるために今できることから取り組み、新たな価値観や行動を生み出すことを目的とした教育です。
文部科学省では、環境、経済、社会、文化の各側面から取組むことを重要としています。

文部科学省|ESD(Education for Sustainable Development)

ESD教育は、小学校で2020年度、超学校では2021年度より実施される予定です。

 

■日常でできるサステナブルな社会に向けた取組み

エコバッグ
人と環境の理想的な関係を目指すサステナブルな社会ですが、「実際になにをすればいいの?」と疑問に思う方も少なくありません。

実は、ESD教育の内容にも見られるように、サステナブルな社会に向けて私達が実行できることが意外なほど身近にたくさんあります。
ここからは、どのようなことがサステナブルな社会に繋がるのかを見ていきましょう♪
 

〇水道光熱費の節約

生活費のために、日ごろから水道光熱費の節約を実践している方も多いのでは?
これも立派なサステナブルな社会への貢献なんです★
省エネ家電に買い替えるのも効果的!

節約は限りあるエネルギー資源の有効活用に繋がる取組みです。
 

〇食品ロスの削減

食べられるのに捨ててしまう食品ロスは、飲食店や小売店を中心に問題となっているイメージがありますが、一般家庭でも日常的に行われています。

食品ロスは世界の食糧不足問題の深刻化を加速させてしまう恐れが・・・!

食料不足問題に埋もれてしまいがちですが、処分方法によっては環境に悪影響を与えます。
日本では焼却処分が一般的ですが、海外は埋め立て処分が一般的。
食品を埋め立てたとき発生するメタンガスは気候変動の原因とひとつとされています。
 

〇エコバッグなどのエコ商品を持つ

記憶に新しいレジ袋の有料化はプラスチック消費を控えることを目的としています。

プラスチックは引き起こす環境問題はさまざま。
例えば、プラスチックごみ漂流による海洋汚染や生物へのダメージ、また、償却すると有毒ガスが発生することも知られています。

エコバッグやマイボトル、マイ箸といった繰り返し利用可能なエコ商品を使って、陸海空それぞれの環境問題の改善に繋げましょう!
 

〇フェアトレード商品を購入する

フェアトレードとは、商品を適正価格で購入できる公正公平な取引のこと。
主な目的は、農産業やそこで働く労働者の自立支援です。

フェアトレード商品の中でも、国際フェアトレードラベルの商品は、農家の生活を守るために適正価格で報酬の支払いをしているほか、児童労働がさせていないこと、過度な農薬が使われていない安心安全な商品であることを約束しています。

 

■サステナブルな社会についてのまとめ

今回の記事では以下のことをご紹介しました。
 
  1. サステナブルの意味
  2. サステナブルな社会とは
  3. サステナブルな社会が生まれた背景
  4. SDGsとサステナブルの関係
  5. SDGsを普及させるための施策
  6. SDGs活動をすることによる企業や団体のメリット
  7. ESD教育とは
  8. 私達にできるサステナブルな社会に向けた行動

サステナブルな社会の実現は非常に難しいものです。
しかし、人や環境、そして社会に配慮した考え方がスタンダードになった今、SDGs活動やESD教育を通して、少しずつ実現に向かっていくでしょう。